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300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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汀こるもの『まごころを、君に THANATOS』

まごころを、君に THANATOS (講談社ノベルス)まごころを、君に THANATOS (講談社ノベルス)
汀 こるもの

講談社 2008-05-09
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★★★★★
真夏に起きた「グッピー凍死事件」を機に親友となった、魚マニア立花美樹と柳瀬圭。生物部でイジメを受け退部した柳瀬の話を聞いた美樹は、文化祭の生物部ブースでの仕返しを画策。だが行く先々で殺人や事故に遭う死神体質の美樹のこと、案の定、彼が向かった教室で爆発事件発生。無差別テロか、それとも死神の所業か!? 美樹の双子の弟にして高校生探偵の真樹が謎に迫る。


「THANATOS」第2作。
 1作目を読んでから次を読むのが2年後という怖ろしいくらいの放置っぷりですけど、それこそが積読家の積読家たる所以。別に飽きたわけでも忘れていたわけでもないのです。
 実は、私はこるものさんのノリというか本シリーズの探偵役である真樹のキャラ造形があまり得意ではありません。しかし、捻くれた物語を王道のちょっと良い話で締めくくる構成には悔しいけれど毎回感動させられていまいます。死神・美樹にまつわる環境に大きな変化をもたらすことになる今回の事件もまた、物語の落としどころが非常にツボでした。

 テーマはずばり、双子とグッピーとハムレット。トリック自体はその昔『アリス探偵局』で見たことのあるような初歩的なアイディアが用いられているのですが、本作で注目すべきはなんといってもその動機部分。ホワイダニットです。
 普通のミステリ小説であれば「ふーん」のひと言で済まされてしまいそうな“ありふれた動機”を、作中にてグッピーをはじめとした生物講義をさんざん行ったことによって遺伝子レベルで裏付けてしまったところが本作の凄まじいところです。この作業によって“ありふれた動機”が“絶対の必然性を伴った動機”に様変わりしてしまう。

 ミステリに何よりも大切なものは説得力です。どんなに意外性のある真相を披露したところで、そこに至るまでの論理が弱ければ意味がありません。ミステリにおいては一にも二にも、読者を納得させるのかが最重要課題なのです。その観点からいうと、本作の動機は犯行の必然性が遺伝子に刷り込まれているわけですから、その説得力は並み居るミステリとは段違いの桁違いです。生命の仕組みという人間ごときが足掻いたところでどうにもならないミクロな視点から、犯行に必然性が与えられている。これは本当に凄まじい。
 個人的には高田崇史『QED 式の密室』の再来とでもいうべき、自分の中の価値観を根底から覆されてしまうような傑作。震えました。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

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