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映画『SUPER 8/スーパーエイト』

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1979年。オハイオの小さな町に住む14歳のジョーは、仲間たちとの8mm映画作りに没頭していた。ある日、真夜中に家を抜け出し、駅に忍び込んで撮影をしていた彼らは、貨物列車が脱線・炎上する大事故を目撃してしまう。まもなく町に大挙してやってきたのは、武装した空軍関係者。あの列車で、空軍は極秘裏に“なにか”を運んでいたのだ。やがて町では、飼い犬が姿を消し、車のエンジンのみが盗まれるなど不可解な事件が続発。さらに9名の行方不明者が出るなど、事態はどんどん深刻になっていく……。 (2011年 アメリカ)


 J.J.エイブラムス×スティーヴン・スピルバーグの強力タッグが手掛けたSF作品。いつかどこかで見た要素の掛け合わせだの『E.T.』だの『未知との遭遇』だのと言われていますが、本作はモンスター・パニックの枠内で本格的にジュブナイルを描いた、これまでにありそうでなかった映画になっています。モンスター・パニックに別のジャンルをぶち込んで可能性を拓く手法は『クローバーフィールド』と同様の手法で、このエイブラムス方式はかなり好きですね。
 自主映画制作に夢中になる少年たちのひと夏の冒険、淡い恋心があったり、家族との確執があったりと、現代版『スタンド・バイ・ミー』というよりはアメリカ版『ジュブナイル』といった感じでしょうか。ジョーとチャールズのアリスを巡るやりとりとか堪らん。こういう作品にはとことん弱いんです。私がジュブナイル映画に求めるすべてが詰まっています。

 母親の死を受け入れ切れていない少年が、エイリアンとの遭遇を通してひとつ大人になってゆく。ラストシーンは「離すのか? 離さないのか? いけ、離せ!」とそれはもう作品世界に没入して見入っていました。
 あれだけ非日常で大きな体験をしておきながら、最終的に完成した映画の残念さも微笑ましい。現実は小説よりも云々というやつなのですけど、ひと夏の冒険は心の宝箱に仕舞っておくものなので、このシーンがあって初めて映画として閉じることができるんですね。これから何があってもあの夏の経験を超えることはできないし、すべてが片付いた後には必ず平穏で退屈な日々が待っている。だからこそ思い出の中の冒険が際立つのです。

 エイリアンがかなりの人間を血祭りに上げていることもあって終盤の展開がなんちゃってハッピーエンドに見えてしまう、という意見もまぁあるでしょう。しかし、たとえばこれが長年、自分を監禁し続けていた輩を恨みもせずに無条件で許してしまうようなエイリアンであったら、この物語は途端に童話じみたものに変わってしまうハズです。ギリギリのところで夢物語にしない一定のリアルさを保つためにも、ある程度の血生臭さは必要不可欠だったんじゃないかなぁ、と思います。というか、そもそもがモンスター・パニックですし。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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