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相棒 Season 10 最終話「罪と罰」


★★★★★

 いつだったか、いまは亡き小野田官房長が薫ちゃんに対して「杉下の正義は暴走するよ」と言ったことがありました。結局あの後、薫ちゃんはサルウィンに旅立つことになり、右京さんと薫ちゃんの全面対決として右京さんの暴走する正義を拝むことはありませんでしたが、節目の Season 10 最終話にして、ついにその芽が出たといって良いと思います。
 「罪を犯した人間はそこにどんな理由があろうとも断罪されるべき」という右京さんの掲げる正義は、これから生まれてくる罪のない命に咎を負わせ枷を嵌めることになり、地獄の苦しみを味わわせると知っていても遂行されるべきなのか。仮に、正義を貫くことで罪を犯していない人間にまで罰以上のものを与えてしまうのだとしたら、ひとつの罪くらいは見逃してやるべきではないのか。
 今回、過激な方策に出たのは神戸君の方にも見えますが、その実、暴走していたのは右京さんの方だったのではないでしょうか。少なくとも視聴者観点からすると、圧倒的大多数が神戸君の心情に流されたハズです。

 しかし、ここで注目すべきなのはなんといっても、あの杉下右京が折れたことですよね。本来、右京さんの正義ではここでの妥協は絶対にありえない選択肢なのです。少なくとも私が10年間見てきた杉下右京というキャラクターはそういう人間でした。が、神戸君が極限の条件を提示したとはいえ、右京さんが罪に目を瞑る行為を呑んだのです。
 これは右京さんにとって大きく変えられた部分でしょう。それは勿論、薫ちゃんがいたからこそだし、神戸君を部下に持ったからでもある。この3年間で積み重ねてきた信頼関係があったからこそ描けたものが、確かにありました。
 たぶん神戸君の口から「相棒」という言葉が出たのは今回が初めてでしょう。「相棒」だからこそ相手が間違っていると感じたときには決裂しようが反逆しようが、罪を犯そうが止めてみせる。Season 7 最終話「特命」で右京さんは「君は亀山君の替わりにはなれません」と言ったけれど、まさにそのとおり。神戸尊は神戸尊で、また別の「相棒」の在り方を見せてくれました。

 事件自体は倒叙形式で、家族ものとして、クローン人間にまつわる問題提起としての方向に力を入れたためにそこまで複雑なことにはなっていませんでしたが、とても見応えのある2時間超でした。
 神戸君の異動に関してはラスボスとしての存在感をいや増す片山雛子と長谷川元副総監の掌の上で転がされた感もあり、警察庁長官官房付きとなった神戸尊はこれからも折に触れて登場することでしょう。
 初期シーズンの頃のように最終回で特命係が潰されるようなピンチに陥ることもなく、ポジション的には安定を見せていたここ最近の「相棒」ですが、久し振りにシーズンフィナーレが大河的にも盛り上がり、10月からの次シリーズが早くも気になります。
 期待していたような決定的決別とはいかなかったものの、個人的には大満足の神戸卒業回でした。Season 10 全体の総括はまた後日ということで、今日のエントリーはとりあえず。

スタッフ、キャストの皆様、そして特に神戸尊役の及川さん、お疲れ様でした。
Season 11 にも超絶期待しています。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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