2009.07/09 [Thu]
竜騎士07『うみねこのなく頃に Episode1. Legend of the golden witch (上)』
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★★★☆☆
…………ベアトリーチェ、魔女か。
1986年10月、伊豆諸島に浮かぶ小さな孤島“六軒島”。年に一度の親族会議のために集まった大富豪“右代宮家”の人々。議題は、余命あとわずかと宣告された当主・金蔵の遺産問題。互いに腹を探り合う大人たちと、無邪気に再会を喜ぶ子供たち…。だが、台風が近づき不吉な暗雲に六軒島が包まれる時、魔女伝説は蘇り、血も凍る惨劇の幕が上がる――。
『うみねこのなく頃に』第1作。
原作は未プレイ、アニメも未見、コミカライズも読んでいないので、今作が初『うみねこ』です。
右代宮の当主・金蔵がかつて取引をしたという魔女・ベアトリーチェが人外の力で“引き起こした”される惨劇の数々。それらをロジックで人間の犯行であるというレベルにまで落とし、推理で証明してみせる――曰く、「推理をしても解かせる気など全くない。それでも魔女の仕業だと認めずに立ち向かう、あなたを屈服させるために用意した」と、そういうことらしい。
なので、キャッチコピーは“推理は可能か?不可能か?”
これ、文章が独創的すぎます。元はノベルゲームなわけですが、パソコンとにらめっこして読むには相当キツいと思う。主人公・戦人の口調は始終テンションが高く、笑い声が「いっひっひ」とか、いちいち「~だぜ」の“だぜ口調”。しつこいというか、いい加減くどい。加えて、真里亞の口癖「うー」も毎々すぎてうんざり(いや、伏線だとしてもね)
疲れる、というのが正直なところ。
あと、どうしても物申したいのは三点リーダー。三点リーダーは2つ――6点で一単位だからっ!編集者、注意しなさい!
けれど、この竜騎士07という作者、決して文章力が無いというわけではないと思うんですよね。三人称視点から見たときの文は至って普通だし、戦人も内面でのまじめなセリフ(?)のところではすらりと読める。同人ということで、わざとキャラっぽくしてるんだろうけど、ちょっと辛いかな。
しかし、物語は面白いです。旧家、遺産相続、孤島、魔女伝説、惨劇、と古野まほろもびっくりな『ノスタルジア』なシチュエーション。なんともミステリファンを唸らせる挑戦じゃないですか。ぼんくらながら、受けて立ちますよ。まぁ詳しい考察は後日に。
残念なのは「事件」――惨劇が起きずに上巻が終了してしまったこと。昔、西尾維新の『サイコロジカル』という作品がありまして。まあ上巻のいちばん最後のシーンになって、ようやく人が殺されるんですよ。ミステリの上下巻なのに、なんだこの遅さは、と。本作はそれ以上でした。せめて盛り上がったところで→上巻終了という流れにしてほしかったですね。
て、文句が多いように見えますが、実は続きが楽しみで仕方ないです。
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