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300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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高里椎奈『天球儀白話 フェンネル大陸 外伝』

天球儀白話 フェンネル大陸 外伝 (講談社ノベルス)天球儀白話 フェンネル大陸 外伝 (講談社ノベルス)
高里 椎奈

講談社 2010-09-07
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★★★☆☆
滅びゆく世界だからこそ見届ける者も必要です。皆がそれぞれの役目を果たすでしょう。
祖国を追われ、大陸を駆け抜けた元王女フェンと、旅路の途中で出会った、愛すべき人々。本編では語られなかったそれぞれの物語を、鮮やかに描き出した全11編を収録。“フェンネル大陸偽王伝&真勇伝”短編集!


「フェンネル大陸」番外編。
 シリーズ通算第13作目――最後の最後を飾るのは、あの日、あのとき、あの場所で、とり零した旅の断片で編まれた短編集です。
 本編に入りきらずにばっさりと切ってしまったエピソードもあれば、全員サービス冊子に収録されたマンガ版の原作、講談社ノベルスのサイトに掲載された短編といったレアなものまで書かれた経緯は様々です。収録作の11編は時系列やスポットの当たるキャラクターもバラエティに富んでおり、端役の端役が主役を務めている話は思わず「誰この人?」状態になってしまったのは秘密です。

 特に印象に残ったのは「digression 1.サチ」 「digression 5.騎士団長と双貴姫」 「digression 10.オリガ・ハウエル」の3編。
 サチとミナヨビ様のエピソードは“人の死なない”「フェンネル大陸」ではかなり異色な掌編で、もしこれが本編に入っていたらシリーズの評価もまた変わっていたように思います。サチの飄々とした中にある決意の固さと、過去の出来事を鑑みるとこういった哀しくも美しい物語の担い手としてこれ以上なく適任なんですよね。
 逆にあまり宜しくなかったのが「digression 4-1.アシュレイ」です。これはいまだから書ける物語というか、シスタスでの裏話としては間が抜けた明るさで本編内容にそぐわなすぎます。あの時期のアシュレイの心境を考えると、やってほしくはなかったかな。

 「フェンネル大陸」では、作中に過去話を挟みこんでの入れ子構造になっている巻がいくつかあり、今回の短編集でも短いながらそういった形式のものが多く見られました。高里さんの作風なのかもしれませんが、そういった書き方が何度も続くと構造的にマンネリに見えてくるので、個人的にはあまり好きではなかったり。

さておき、「フェンネル大陸」は本作で読み収め。いまさらながら高里さん、お疲れ様でした。
新シリーズの「天青国方神伝」も読んでいくつもりなので、よろしくです。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

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