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300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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京極夏彦『ルー=ガルー2 インクブス×スクブス 相容れぬ夢魔』

ルー=ガルー2 インクブス×スクブス 相容れぬ夢魔<講談社ノベルス>ルー=ガルー2 インクブス×スクブス 相容れぬ夢魔<講談社ノベルス>
京極 夏彦

講談社 2011-10-14
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★★★☆☆
言っただろ。
人間はできることとできないことの線引きを自分で勝手にしてさ、その線の内々で生きてるんだよ。
でも、大概その線引きは間違っているワケだ。安全圏でぬくぬく生きてるのは楽だけどオモシロくなーい

少女達を襲ったおぞましい事件から3カ月が経った――。前回の事件の被害者・来生律子のもとを、謎の毒を持った作倉雛子が訪ねてくる。彼女は小壜を律子に託し姿を消す。未知なる毒の到来は、新たなる事件の前触れなのか!?突如凶暴化する児童達。未登録住民の暴動。忌まわしき過去の事件を巡る、妄執と狂気と陰謀。すべての謎が繋がるとき、少女達は新たなる扉を開く!


「ルー=ガルー」第2作。
 出版史上初の“ハードカバー、文庫、ノベルス、電子書籍の4形態同時発売”だった本作。それぞれの購買層が異なるため、出版社側にとっても決して不利益にはならないとのことで実施されたプロジェクトですが、これは良いですね。ぜひ続けてほしい。通常、ノベルスから文庫に落ちるまでに3年は掛かるといわれているので、本来であれば前作を文庫で勝ってしまった人はノベルス落ちも含めて4年以上経たないと同じ形式で揃えられなかったわけで。私自身、ハードカバーは滅多に買わない主義者なこともあり(値段とスペースの関係は勿論、同一作者を本棚でひとまとめに並べたいというのが最大の理由です)文庫が早く出てくれるに越したことはありません。
 ちなみに今回は講談社ノベルスをこよなく愛する講談社ノベラーとして、当然の如くノベルス版を購入させて頂きました。やっぱりノベルス2段組みがいちばんしっくりきます。

 舞台は前作の3ヶ月後。『ルー=ガルー』の事件では端役だった律子と雛子を中心に物語は始まります。今回も律子パートと橡パートが交互に進んでいく構成が採られているのですが、これが毎章毎章、本当に良いところで視点が切り替わる。少女サイドが気になったかと思えば、大人サイドの続きも読みたくて、最初から最後までこんなに先の知りたさが持続される小説にはそうそう出逢えません。
 今回も少女たちが巨悪を相手に大暴れ。たとえ敵がどんなに強大であろうとも友達のため、自分が自分であるために戦い、目の前に立ちはだかる障害を乗り越えていく。
 ただし近未来ミステリと呼ぶには弱いです。真犯人の計画や動機部分はSFものらしいギミックでかなりの意外性があるものの、やはり本シリーズはSFアクション或いはサスペンスといった風合いが色濃く、謎解きミステリを期待してしまうと方向性にズレを感じるかもしれません。しかしながら、2作目にして展開にややパターン化の兆しが見えるとはいえ、エンタメ小説として括れば最高に楽しめる作品であることは間違いないです。

 章番号が前作から続いていきなり「32」でスタートすること、『ルー=ガルー』事件のネタバレが満載なことも考えると、これから手に取ろうという人は素直に1作目から読んでいくのが無難です。


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プロフィール

はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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2012年に読んだ小説の        ベスト5はこれ!!

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1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

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