2012.03/04 [Sun]
アニメ総評:『UN-GO』
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★★★☆☆
舞台となるのは“終戦”を迎え、戦争の傷跡もまだ残る未来の東京。そこに君臨するのは、政財界に通じ、通信インフラを牛耳るメディア王、海勝麟六。海勝はその膨大な情報量と明晰な頭脳で、数々の事件を解決に導いてきた。だが海勝の名推理には裏がある。その裏にある“本当の真実”を見事にあぶり出すのが、「最後の名探偵」結城新十郎だ。しかし、それを知らない世間は、新十郎を「敗戦探偵」と呼ぶ――。それでも新十郎は助手の因果とともに本当の真実を求めずにはいられない。 全11話。
坂口安吾の「明治開化 安吾捕物帖」を近未来ものとしてアレンジしたアニメ作品。いつの間にやら脱アニオタしてしまった私にとって深夜アニメを視聴したのは、変則的スケジュールだった『刀語』を除くと、2009年の『大正野球』以来の実に2年ぶり。観たいけど観る気が起きないという謎の無気力症候群から脱出するためのリハビリとして、とりあえず1クールに1作品ペースから復帰していこうと思い、視聴に至りました(ちなみに原作は未読)
キャラデザに高河ゆんを迎えていること、助手の因果が天衣無縫な小悪魔系美少年といったあたりから若干、腐女子受けを狙った感が見え隠れしないでもないですが、全体としてはなかなか楽しかったです。
ジャンルとしてはいわゆるミステリにカテゴライズされるものの、人外の因果が持つ特殊能力によって犯人がどうしても隠したかった動機を吐露することが作品的なメインとなるため、基本的には凝った趣向の事件や謎解きはありません。しかし中には近未来設定が存分に活かされている回もあり、特に佐々風守事件の真相はイロモノミステリ好きとしては堪らないものがありました。
ミステリと特殊設定って、真相の意外性を演出できるので一般に考えられている以上に相性が良いんですよね。風守事件に関しては伏線と情報の提示も申し分なく、完全にフェアだったので意表を突かれました。SFとミステリの融合ってこうあるべきだと思います。現代劇ではできないからこそ、面白い。
ただし中盤を過ぎたあたりから雲行きが怪しくなってきたのも事実で、物語の中に因果のみならず別天王なる人外が介入してきます。後半はこの別天王を軸に話が展開されていくのですが、これが結構視聴者を置いてきぼりにさせる。
というのも、本作は番組開始直後に2週間限定で『UN-GO episode:0 因果論』なる映画を試験的に公開しており、この別天王絡みの話題はすべて劇場版に起因しているのです。別段、番組放送中に劇場版を公開する手法にはありません。けれど、おそらくごく少数の人間しか観ていないであろう映画の内容がテレビシリーズの根幹に綿密に関わってくるというのは、ちょっとどうだろう。映画はあくまでも単体で成立させて、テレビはテレビでやれよ!
結局、因果や別天王の存在定義がいまいちよくわからないままで進行してしまったため、最終回の超展開バトルを含め、能力を用いたトリック解説などが総じて消化不良に陥ってしまったのが惜しいところです。まぁ、これは内容以前に作り手の姿勢の問題なのですが。
そんな感じで、何だかんだで小説版も買ってしまった。でも『因果論』のノベライズだから風守はたぶん出てこないですよね?
例によって例の如くお気に入りはロリキャラなのです。いや、かわいいは正義って言うし!
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