2012.02/28 [Tue]
映画『恐竜・怪鳥の伝説』
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★★☆☆☆
一九七七年の夏。神秘のベールに覆われた富士の青木ケ原樹海で若い女性が発見された。女は息をひきとる直前に「大きな卵が……」と謎の言葉をのこして死んだ。そのニュースを知った芦沢節は、ただちに富士へ向う……。 (1977年 日本)
わた~しは~だれ~? おま~えは~だれ~?
東映特撮 YouTube Official にて無料公開されているものを視聴。
うわぁ、これはひどい。特オタの間で語り種になっているらしい伝説のカルト作ということで観てみましたが、まさに迷作と呼ばれるに相応しい映画でした。
どうやらこの作品、ジョーズその他のモンスター映画のヒットと空前のネッシーブームを受けて制作されたそうで。富士の湖で復活した恐竜が地元住人と観光客を喰いまくるという、日本でも珍しい真正のモンスター・パニックになっています。が、しかし。そこは着ぐるみ特撮が主流の日本、本場アメリカのようにはなかなか上手くいかないんですね。そもそも日本とアメリカじゃあ、いわゆるモンスター像に対するスタンスがまったく違うのです。
アメリカ映画のモンスターは生物的なリアルさを追求し、徹底して人間に倒されるべき“敵”として描写するのが常な一方、日本特撮のモンスターは怪獣にしろ、怪人にしろ、どこか愛嬌があって親しみやすい“キャラクター”として描かれます。だからたとえば、ウルトラマンに登場する怪獣はごく一部(『ウルトラマンネクサス』のバグバズンなど)を除いて、殆どが着ぐるみキャラであることを暗黙の了解とした世界観が作られているわけです。
で、この日本特撮的キャラクター感とモンスター・パニック映画はすこぶる相性が悪い。なんせモンスター・パニックは観客をびびらせてなんぼの映画なのですから。結果、本作のプレシオサウルスやランフォリンクスの造形が、目指すべき作風からかなり浮いた存在になってしまっていることは否めず、ハリボテすぎてギャグにしか見えないのがつらいところ。
脚本も杜撰です。終盤になってのランフォリンクスの唐突な登場や、富士山大噴火エンドなんてやっちゃいけないでしょう。終わり方に至っては、最終的に主人公たちがどうなったのかもわからず終いですからね。え、終わったの?と本気で疑ってしまったくらいです。
しかもエンディングの音楽が明らかに本編内容と合っていない。終盤の辺り一帯が火の海に包まれた緊迫したシーンで「ラララ~♪」はないだろ! このラストシーンが、本作の出来のすべてを物語っています。
ちなみに音楽は使い方が悪いだけで、OP/ED共に妙に癖になる魅力を持っています。劇中BGMも何気にカッコ良いです。
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