2012.02/07 [Tue]
映画『世界侵略:ロサンゼルス決戦』
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★★★★☆
最後まで戦うためだ。それが海兵隊だ。
大量の流星群と思われる未知の物体が世界中に降り注ぎ、正体不明の何者かが海岸に出現、猛攻撃を受け各都市が崩壊する中、ロサンゼルスも瞬く間に壊滅寸前に追い込まれる。だが逃げ遅れた3人の子供を含む民間人5人がロス西警察署に取り残されていた。救出のため駆り出されたのは、マルチネス少尉以下、退役間際のナンツ軍曹、過去ナンツの指揮下で兄を失ったロケット伍長、結婚式目前だったハリス伍長ら、10人からなる海兵隊2-5小隊。人類が初めて遭遇する攻防戦は、目に見えない敵との接近戦だった。廃墟となった街、視界を遮る砂塵、一人、また一人と激しい市街戦で仲間を失い、退路も失う中、果たして彼らは、そして人類は生き残れるのか――!?
二階堂黎人もお気に入りの『世界侵略:ロサンゼルス決戦』です。
この作品の特筆すべきポイントは、『クローバーフィールド』以降流行りに流行った“一市民の視点から見たSF”の中でどうしてもネックとなっていたカタルシスの欠如を、前線の一海兵隊員を主人公に据えたことで見事に克服したことにあります。戦場に送られた海兵隊員は通信もままならず、本部から満足な情報も得られない中で民間人の救出任務と未知の侵略者たちとの戦いを強いられることになる。視点は一貫して戦場の2-5小隊オンリーであり、劇中に情報が集まる上層部の会話等々は一切出てきません。
そのため、敵がどこから攻めてくるかもわからないし、数時間後に市街地爆撃が控えていること以上の作戦状況はまるで報されない。そこにあるのはただの戦場です。
この情報の制限が臨場感を煽る煽る。エイリアン侵略モノでここまでのリアリティをもって描かれた映画は、これまでになかったんじゃなかろうか。それでいてエイリアンが地球にやって来た理由はニュース映像の評論という形でしっかりフォローしているあたり、先達の失敗からよく学んで作られていると思います。なるほど、ボイド人みたいなやつらなのね。
これを観ちゃうと『スカイライン -侵略-』の「そこには愛も英雄も存在しない」とか完全に甘えですよね。たとえ一兵卒だろうが民間人だろうが、マクロな意味での英雄は存在しなくともミクロな視点では人間ひとりひとりにそれぞれ物語があって、ドラマとして展開するだけの余地は充分すぎるほど残されている。
本作の二等兵曹だって、戦争が終わってみれば人知れず命を落としているかもしれないし、英雄として讃えられるのはミサイルを誘導した小隊のメンバーではなく、中央で発射スイッチを握る誰かなのでしょう。しかしながら、彼らが標的の位置をレーザーで指し示し続けなければ少なくともロサンゼルス決戦には勝てなかった。従来のヒーロー映画で描かれてきた場所からでは決して見えない在野のどこかにも、確かに英雄は存在するのです。
二等兵曹がエイリアンの基地に単身向かおうとするシーンとラストで二度も感動してしまいました。今回はタンクトップ姿を披露しないながらもミシェル・ロドリゲス姐さんの勇姿も堪能でき、とにかく痺れます。退却クソ食らえ! 退却クソ食らえ! 退却クソ食らえ! ――てな感じで迷わず観るべし。オススメです。
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