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300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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映画『仮面ライダー×仮面ライダー OOO&W feat.スカル MOVIE大戦CORE』

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★☆☆☆☆
竜との結婚を前にマリッジブルーの亜樹子は、式直前にあらわれたプテラノドンヤミーが持つガイアメモリの力で、鳴海荘吉の過去を垣間見ることに…・・・。舞台は風都で最初に起きたドーパント事件。なぜ荘吉が仮面ライダースカルになったのか? 一方、別の場所では織田信長のミイラが発見され、鴻上の蘇生実験により人造人間のノブナガとして蘇る。その面倒を映司はみることになるが、ノブナガは尽きぬ欲望と復讐心に満たされていた。映司の心配をよそに、ノブナガはその2つの心を解き放っていく!


「MOVIE大戦」シリーズ 第2作。
 聞きしに違わぬクソ映画――と思いきや、それ以上に酷かった(いえ、それ以下と言うべきかしら@鑢七実)
 当時、終わったばかりの『W』の後日談「仮面ライダースカル メッセージforダブル」と放送中の『オーズ』の番外編「ノブナガの欲望」に共演パートの「MOVIE大戦CORE」を加えた3部構成になっているのですが、兎にも角にも酷すぎる。こんな作品を映画として世に出して恥ずかしくないのか、というレベルです。


 まず、映司のキャラがテレビシリーズと違いすぎる。自称・困っている人間にバイトで稼いだお金をバラ撒くとか、もう意味がわからない。しかも比奈ちゃんが「映司くんは人が好すぎ。騙されている」と主張すると、騙されたって別に良いじゃないと言い出す始末。その上、ノブくんの社長就任劇に対して何の疑問も持たないばかりか、明らかに様子がおかしいノブナガの挙動にまったく気付いていない愚か者として描かれている。映司は「平成ライダー」の主人公の中でもたぶん最も洞察力があって、人一倍狡賢い一面を持っているキャラクターだと思うんです。翔一くんじゃあるまいし、どんだけ天然キャラなんだって話ですよ。
 「MOVIE大戦」の製作時期の都合でキャラ設定もまだ固まっていないのに、メインライター以外の脚本家に丸投げするからこうなるんです。脚本監修の小林靖子、絶対目を通してないだろ。

 この物語がテレビ版のどの位置にも組み込めないというのも問題です。「平成ライダー」の劇場版で頻発されるパラレル化現象ですが、なんでもパラレルパラレルって良い加減にしろ! 『レッツゴー仮面ライダー』の感想でも書いたのですけど、仮にもプロなんだから整合性を図るくらいはやって当然なんですよ。なんでいつもいつも破綻しているのさ?
 映司がメダルを自分で管理しているとか細かい部分はまぁ良いですよ(欲をいえばアンクが殆ど出掛けっぱなしの理由付けも含めて説明するべきなのですが)
 今回の場合だと謎のグリード“ギル”の存在やあの段階での後藤バース、甲殻類メダルなどが本編設定と完全に齟齬を来しているわけで。百万歩譲って、本編とキャラクターがズレてしまったのはまだ許せるとして、テレビの脚本ぶんはせめて本作の設定をフィードバックさせるとか、もうちょっとすり合わせていく努力をするべきなんじゃないの。真木博士の変身した恐竜グリードを“ギル”と名乗らせるくらい造作もないことでしょうに。評判が悪かったから文字どおり「なかったこと」にしちゃうなんて、あまりにも視聴者をバカにしています。
 例のバレエシーンの唐突な挿入や、そもそも映司とノブくんがまともに会話を交わしているシーンがないからふたりの関係性も推し量れないし、同様に比奈ちゃんと明智先輩も全編通して二言程度しか喋っていなかったり、そもそも明智先輩の行動動機がまるで語られていないなど、「オーズ編」に関しては他にも言いたいことがたくさんあります。というか、すべてを挙げていったら本当にキリがないです。

 対して「W編」は安定して良く出来ています。テレビシリーズのゲストや準レギュラーを至るところに配し、過去パートにおいて“あのときあの人は~”的な見方もできるのが愉しい。幼女所長のたこやき風の被り物など「オーズ編」とは逆に細かい本編フォローが行き届いているのも印象的。風都最初のドーパント事件にスパイダーとバットを持ってくる配慮も嬉しいですね。
 スカルはとことん渋くハードボイルドに決め、仮面ライダーが背負わなければならない罪を正面切って描き切った姿勢には拍手を贈りたい。スパイダードーパントの正体当てについてはヒントの提示に若干の不公平さを感じましたが、まぁガチのミステリではないのでそこまで目くじらを立てるほどでもないかな(推理云々は抜きにして話の常道として見当がついてしまうし)
 ただし現代パートを見てみると、メモリーメモリを差していないのに能力が発動された原因や、ヴァージンロードを歩く鳴海荘吉の姿が皆に見えているのかどうかいまいちはっきりしない部分もあり、些か説明不足ではあります。『AtoZ』のロストドライバーの件も鑑みるに、案外スカルメモリの能力が幽霊化だったのかも。

 「MOVIE大戦編」はもはやノリでやっちゃった感が満載です。せっかく「W編」、「オーズ編」に共通して仮面ライダーであることが友人を殺めることに繋がる、といった格好の共通項があるのに、まったく活かせていない。
 だいたい仮面ライダーコアがコアたる意味も不明だわ、“過去の仮面ライダーの記憶”とやらも謎だわで何をやりたいのかがまるでわからない。
 そもそも、あの世界に過去のライダーがそんなにいたの? いや、いまとなっては平成第二期シリーズの世界観は統一で、『フォーゼ』にて歴代ライダーが都市伝説として語られている世界であることが明確化されているのでこれはこれで良いのですけど、少なくとも『MOVIE大戦CORE』時点ではそこまで設定されていなかったハズだから、納得できるだけの説明を劇中できちんと語っておくべきでしょう。
 このあたりが良くも悪くも『ディケイド』の功績であり、破壊してしまった点でもあります。『ディケイド』というテキトーかつ荒業な作品を出された後、多くの視聴者がもう世界観なんてどうだって良いやと半ばヤケになってしまった。
 本作自体がその流れを汲んだ現在の東映の悪しき商業魂の権化ともいえる代物で、ライダー人気→劇場版頻発で1作のクオリティが低下→しかし興行収入はGOOD→さらにライダー人気→劇じょ(ry という負のスパイラルが延々と続く。お祭り映画だから、を免罪符にこんな片手間低レベル作品を乱発するくらいだったら、映画なんて年に1本で充分です。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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