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高里椎奈『星々の夜明け フェンネル大陸 真勇伝』

星々の夜明け フェンネル大陸 真勇伝 (講談社ノベルス)星々の夜明け フェンネル大陸 真勇伝 (講談社ノベルス)
高里 椎奈

講談社 2010-07-07
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★★★☆☆
国なんて境目は要らない。偽王は人の間にあって、多くの人を繋ぐ者だ
首都で発生したグールの叛乱を機に、ストライフ王国各地で上がる戦いの狼煙。争いを止めたい、真実を知りたい――。兄に命を狙われてもなお、フェンは、暴走する祖国を救うべく奔走する。彼女を襲う悲しき裏切りと、思わぬ別れとは!? 家が隠し続けてきた驚愕の真実とは……!? 少女と仲間達の心揺さぶる冒険譚、ここに完結。


「フェンネル大陸 真勇伝」最終作。
 あのフェンが心からの満面の笑みを浮かべているなんて。「偽王伝」全7作、「真勇伝」全5作――総巻数12冊に渡って付き合ってきた読者には、表紙のフェンの姿を見るだけでぐっとくるものがあります。
 ストライフにおけるグール差別にも理由があり、父王やルース兄様、ワイザーでさえもそれぞれの物語を抱えて生きていた。非情で残酷にしか見えない現況にも、遡ってみればそうならざるを得なかった理由が存在する。
 ストライフ王の対応ももう少し何とかならなかったのかとか、主要キャラクターが誰も死なない、殺さないのはぬるすぎるという意見は勿論あるでしょう。しかしながら、それらを踏まえた上で、この世界に“悪”はあっても、“悪人”なんてものはいないんだ、ということを著者はこの「フェンネル大陸」で描きたかったのだと思います。綺麗すぎる物語で当然、世界は本当に綺麗で美しいのです。

 個人的にはっとしたのは、何といっても第2部「真勇伝」に込められた意味です。第1部の「偽王伝」は外から見たフェンであり、対外的な通り名を指してしました。一方で第2部のサブタイトル「真勇伝」はあくまでもフェンから見たフェン自身――己の心の中にある真の勇気を指している。他人のために偽王を名乗り、動いてきたフェンが、ここでようやく確かな自分自身を得たわけです。
 そう考えると「偽王伝」→「真勇伝」の流れは必然であり、「真勇伝」が実に素敵な響きに感じられてきます。『星々の夜明け』のタイトルも同様で、フェンやテオ、サチ、ロカ、アシュレイといった彼らひとりひとりの物語はまさにこれから。ここが夜明けで始まりです。
 終わることのない物語の大切なひとときをご一緒できたことに感謝しつつ、「フェンネル大陸」は大団円でここで〆め。
 ただし『ドラゴンボール』風に言うのなら、まだもうちょっとだけ続くんじゃよ――てな具合で、本当の最終巻は外伝となる短編集『天球儀白話』です。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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