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300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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高里椎奈『黄昏に祈る人 フェンネル大陸 真勇伝』

黄昏に祈る人 フェンネル大陸 真勇伝 (講談社ノベルス)黄昏に祈る人 フェンネル大陸 真勇伝 (講談社ノベルス)
高里 椎奈

講談社 2010-06-08
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★★★☆☆
真実を知りたい。偽りを捨て、真実を知った上で、自分の判断に胸を張りたい。
それが、私に出来る唯一の事だと思います

遂に祖国へと帰還した、少女フェン。自らに無実の罪を着せた兄に真実を問うため、死すら覚悟の上、王城へ潜入。因習に囚われた王族たちや、かつての師との再会を果たす……! 城内に渦巻く邪な陰謀とは!? フェン自身に隠された驚くべき秘密とは?


「フェンネル大陸 真勇伝」第4作。
 最終章前編。ストライフへと戻ったフェンを待っていたのは彼女の帰還を喜ぶ、嘘のように優しい兄弟たちでした。これまでギルフォードとパラ姉さま以外はフェンのことをさんざん無視し、疎み続けてきたと語られていたのでこの対応には驚きました。
 勿論そこには陰謀と策略が隠れているわけですが、それにしたってストライフにいた頃のフェンが兄妹のひとりとして扱われてこなかった理由の一端は彼女の側にもあったと思います。無知で従順でただひたすらギルフォードのために尽くす。フェンには自己がまったくないのです。
 そういった意味では追放されてすべてを失い、感情が欠落してしまったフェンとストライフで王女として暮らしていたフェンベルクは根本的にはまったく違わない。
 だから、旅をして色々な人たちと触れ合って、大切な人ができて。様々なことを見知ったフェンには何不自由ない王城生活が、実はこれまでのどんなシチュエーションよりも窮屈で苦痛を伴うものだったのだと初めてわかったのでした。

 「偽王」の名前を使った外交政策や祖国に蔓延るグール蔑視の風潮と真っ向から戦うことを決意したフェン。『太陽と異端者』で堂々と張られていた伏線も回収し(だいたいの見当は付いていましたが、肝心の伏線には恥ずかしながらまったく気付きませんでした)仇敵ワイザーとの対峙を経て、長かったシリーズも次巻でついに決着です。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

当ブログはリンクフリーです。
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1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

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