2012.01/19 [Thu]
東川篤哉『謎解きはディナーのあとで2』
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★★★☆☆
確かに、探偵は現場を見ることはなく、話を聞いただけで推理する。それが安楽椅子探偵モノのルール。
その意味では、わたくしの要求はルール違反なのかもしれません
令嬢刑事麗子と風祭警部の前に立ちはだかる事件の数々。執事の影山は、どんな推理で真相に迫るのか。そして、「影山は麗子に毒舌をいつ吐くの?」「二人の仲は、ひょっとして進展するのでは?」「風祭警部は、活躍できるのか?」など、読みどころ満載な上に、ラストにはとんでもない展開が待っていた!?
「謎解きはディナーのあとで」第2作。
うーん、前作の方が圧倒的に良かった。なんというか、本屋大賞を受賞したことでミステリファン以外も手に取るようになったことを踏まえて、敢えて謎解きの難易度を下げて書かれている感じがします。
第3章「殺意のパーティにようこそ」での顔見知りのくだりや、最終章「完全な密室などございません」におけるフラスコ画制作の過程など、行っている作業はかなり複雑で目を見張るロジックは確かにあるのです。しかしながら、それによって明かされる真相に意外性がまるでない。前者は伏線の張り方が露骨すぎて犯人が一発で見抜けてしまうし、最終章に至ってはトリック、犯人共にこれはダメだろう、と思うようなものになっています。
ただし、事件ごとに影山がこの謎はミステリ小説的にはどういったタイプに分類されて、どのように解いてゆけば良いのかを懇切丁寧にレクチャーしてくれるため、論理の展開を非常に追いやすい。ここらへんが“ミステリにおけるロジックってこうやって読むんだよ”というある種のレッスンのように見えてなりません。
前巻の感想では、普段は本格を読まない多くの読者が悪い意味で「ミステリ入門」という言葉を使っていましたが、今巻は良い意味で「ミステリ入門」としての色が濃い。逆にいえば、本格ミステリにどっぷり浸かった読者にはちょっと物足りなくなってしまうのですが……。
広義のミステリーが流行る一方で本格市場がどんどん閉鎖的になっている現在、ひとりでも多くの人にミステリの愉しみを知って貰うためにも、そういった役割を担う作品は必要でしょう。
お気に入りは第2章「殺しの際は帽子をお忘れなく」。この短さでよく誤導まで入れたよなぁ。
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NoTitle
執事の毒舌も相変わらずで、
口数が増しているのも話の面白さを引き立てていましたね。
疲れているときに、手軽に読むには最高の娯楽書籍だと思います。