2012.01/06 [Fri]
映画『ICHI』
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★★★☆☆
何斬るかわかんないよ、見えないんだからさ。
三味線を手に1人で旅をする盲目の女旅芸人・市は、チンピラとのいざこざの中で浪人・藤平十馬と出会う。十馬は市を助けようとするものの手が震えて刀を抜けない。そんな時市は仕込み杖を一閃し、チンピラをあっさり倒してしまう。その後2人はとある宿場町へとたどり着く。そこは街を仕切る白川組と町外れに根城を構える万鬼一党が抗争を繰り返す場所で、市と十馬も抗争に巻き込まれてしまい……。 (2008年 日本)
新年に地上波放送があったので録画視聴。
私は普段時代劇を見ない人間なので勝新太郎の本家『座頭市』も観たことはないけれど、この『ICHI』と『座頭市』を比べてどうの~って発想はそもそも間違いでしょう。本作はあくまでも“盲目の剣士”というアイディアを間借りしただけの別物。さらにいえば時代考証に気を配ったガチの時代劇ですらなくて、要するにここで表現されているのは『いつわりびと◆空◆』や『常住戦陣!! ムシブギョー』のような(サンデー派なもので)少年漫画的なノリで展開される時代劇なわけです。
なので殺陣のシーンにスローモーション演出を持ち込んだり、血しぶきをCGで見せるのも全然アリだし、窪塚洋介演じる虎次がヤンキーみたいなたるい喋り方のキャラだったり、全編を通して現代語まるまんまで会話していたりしても何らおかしくはない。極端な話、「うぜぇ」とか「つーか」なんて言葉が劇中に出てきたって許されると思うくらいです。
市が髪の毛サラサラで身綺麗すぎるのだって、彼女を主役としたヒーロー譚なのだから当然っちゃあ当然のこと。
そこらへんの理解を履き違えると、この作品はつまらないものになってしまいます。逆にいえば、この世界観を受け入れて観るとこれがなかなか楽しめる。鑑賞前に地雷映画だろ、とか内心バカにしていてすみませんでした。
瞳を動かさないばかりか瞬きすらしない綾瀬はるかは本当にすごかった。観ていて“市の目が見えない”ことがはっきりと伝わってくる。
逆にダメダメだったのは十馬関連の設定ですね。刀が抜けないのはわかっているのだから、せめて木刀を持って闘うだとか色々と方法はあるだろうに。命の掛かった状況でそれはない。それとも、どうあっても刀を手放せないのが武士としてのプライドだったりするのかしら。
十馬のトラウマを生んだ出来事の回想シーンもなんだかなぁ。アレじゃあ、ギャグにしか見えないって。思わず笑っちゃったもの。十馬についての脚本と演出をもうちょっと練ってやっていれば、もっと良い作品になれた気がします。
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