2011.12/27 [Tue]
歌野晶午『舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵』
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★★★☆☆
ほーい。では、どなたさんもごきげんよう
舞田歳三は浜倉中央署の刑事だ。仕事帰りに兄・理一の家によって、小学五年生になる姪のひとみの相手をし、ビールを飲むのを楽しみにしている。難事件の捜査の合間を縫ってひとみをかわいがる歳三だが、彼女のふとした言動が事件解決のヒントになったりもして……。
「舞田ひとみ」シリーズ 第1作。
文庫版が既に刊行済みなのにノベルスを積んだままにしていた『舞田ひとみ』、歌野さんの作品を読むのはこれが初めてです。カバー袖の著者のことばによると本作は「ゆるミス」或いは「やわらか本格」だそうですが、主人公が刑事で扱われている事件も結構ダークな真相が多かったりもして、良い意味で予想を裏切ってくれます。
本格ミステリの短編としても申し分なし。一本一本は短いながらも伏線の妙を堪能でき、気軽に読めて満足度120%の短編集でした。
特徴的なのは各短編の繋げ方です。事件自体は毎章新しいものを取り扱っており、最近よくある類のいくつかの短編に跨った謎を最後の章で解き明かすという形式ではないのですけれど、前章の事件の関係者を次の章で改めて掘り下げたりといった面白い趣向が凝らされていて、それぞれの短編の繋がりがかなり密になっています。全体としては連作短編集というよりも短編集テイストの長編小説といった感覚に近く、「いいおじさん、わるいおじさん」→「いいおじさん? わるいおじさん?」の流れはサブタイトルの意味も込んで考えると本当に秀逸です。
題名こそ『ダンスときどき探偵』とありますが、ひとみ自身は探偵役として活躍せず、あくまでもひとみが何の気なしに漏らした言葉をヒントに事件が解決に向かいます。しかし、このひとみがもうめちゃくちゃキュートなんです。言葉の選び方だとかノリだとかがいかにも小学五年生的でとにかく生き生きと描かれている。ひとみかわいいよひとみ。
私の理想の探偵シチュエーションに探偵+小生意気なガールの組み合わせというのがあるので、まさにストライクゾーンど真ん中。これには参りましたね。14歳になんかならなくて良いのに!
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