2011.12/22 [Thu]
グレッグ・ベア『スター・ウォーズ ローグ・プラネット』
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★★★☆☆
そういう問題じゃないよ。あんなふうに解き放ったりしちゃいけなかったんだ。
ぼくがやったことは全部まちがいだった
ナブーの戦いから3年、アナキン・スカイウォーカーはオビ=ワン・ケノービの弟子としてジェダイの教育を受けていた。ひとりの女性ジェダイの行方不明の報せに、オビ=ワンとアナキンは未知なる惑星におもむく命を受けるが、そこで彼らを待ち受けていたものは……。
映画『EP1』と『EP2』を繋ぐブリッジノベルで数あるSWスピンオフ小説の中でも最も重要とされている一冊です。本作でアナキンたちが行方を追う女性ジェダイのヴァーゲアは後にジェイセン・ソロの師となる人物。そのヴァーゲアが自分の身柄と引き換えに退けた別銀河からの侵略者=ファー・アウトサイダーこそが「ニュー・ジェダイ・オーダー」で敵として登場するユージャン・ヴォングであり、『再会』ではゾナマ・セコートに降り立ったルークたちが実際に本作で起きた事件の話を住民たちから聞くシーンがあります。
ウィルハフ・ターキンとレイス・サイナーによるデス・スター建造計画の一歩目が描かれるのも本書なら、アナキンが初めてダークサイドに足を突っ込むのもこの作品。とにかく最初から最後まで、これでもかというほどにトピックが詰め込まれています。
これを読む限りではアナキンが暗黒面に堕ちるというよりも、彼が抱える得体のしれない暗黒面がアナキンを乗っ取ってくるといった方が近いように感じます。アナキン自身は踏み留まろうと一生懸命だったのに、自分でも制御できない力が溢れるようにして彼を蹂躙していく。映画で見られたような単に怒りに任せて嫉妬に狂って、とは違った表現でアナキンがいかに“特別”だったかがよくわかります。
また、本書では「スター・ウォーズ」=神話のコンセプトがより色濃く出ていて、この物語自体が「生きた宇宙船を作り出す、命と意思を持った伝説の惑星」を語り継いだ伝承話としての体裁になっているのも面白いです。終章でその後の出来事についてダイジェストで触れていくあたりも、いかにもそれっぽい。吟遊詩人が弾き語りそうな壮大な昔話、ファンタジーになっているんですね。
キャラクター面ではヴァーゲアの元マスター、スレイシア・チョ・リームのインパクトが絶大です。ヨーダに対して“木の切り株にでかい耳をつけたようなあの年寄り”呼ばわりですからね。半端ない。メイス・ウィンドゥに結婚もしたことがないのに子供の気持ちがわかるわけがないなんて言えるジェダイ・マスターは他にいないでしょう。
マスター・ウィンドゥといえばジェダイ全員の中でジョークに対する反応が最も速いという記述があって目を疑いました。あの堅物のメイスがですよ? さすがにそれはないだろw
それからこの作品でアナキンとターキンが殆ど仇敵のような立場で初接触を果たしているのですが、『クローン・ウォーズ』3rd season ではすっかり無かったことのように扱われていました。『CW』の設定無視はいまに始まったことじゃないですけど、いくらスピンオフはルーカスの管轄外とはいってもルーカスフィルムはもうちょっと整合性を図る配慮をしとけよ!
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