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300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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高里椎奈『雲の花嫁 フェンネル大陸 偽王伝』

雲の花嫁 フェンネル大陸 偽王伝 (講談社ノベルス)雲の花嫁 フェンネル大陸 偽王伝 (講談社ノベルス)
高里 椎奈

講談社 2006-11-08
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★★★☆☆
捨てさせた? 自惚れるなよ、フェン。此奴らは捨てたいから捨てたんだ。
勘違いするな。英雄なんて代物は明け方の夢みたいな無責任な希望だ。
その、外の希望に目を向けさせたのは偽王じゃない。フェン、お前自身だ。

王を名乗るものは全て粛清する――。非道の大国シスタスによるこの皇王宣言に叛逆し、自らを偽王と名乗ったフェンベルク。命懸けで敵の牙城へと向かう幼き戦士は、シスタス軍の追撃から逃れた町で、ある真実を知る。それは嘗て、雲の国・ラビッジで起きた恐ろしい事変と、戦友・リノに隠された悲しい過去だった!!


「フェンネル大陸 偽王伝」第6作。
 フェン一行、いよいよシスタス聖国へ。シスタスであってシスタスでない“存在しない街”に辿り着いたフェンたちはそこでひとりの女性と出逢い、かつて前ラビッジ女王の身に起こった出来事を知ることになります。困窮するラビッジ王国を一から立て直した若き女王ローゼル。本巻の多くを占めるのはラビッジとシスタスの間にある「借り」の話です。

 それは同時に現王リノの側近であるマットの過去でもあり、もはやフェンひとりの「偽王伝」ではないことを物語っています。平和実現のために奔走するリノとマット、過去に囚われたままのアレフにレティシア、騎士見習いとして自分にできる最大限を為そうとするロカ、シスタスの軍門に降ったアシュレイ、暁の三将ことシスタスのハネイ――彼ら彼女らがそれぞれの胸にそれぞれの想いを抱いて戦っている。フェンが世界を知るために始めた旅は、いつの間にか大きな群像劇になっていました。こういう作り方はすごく好みです。
 因縁の相手として登場するエルムンド・ハネイの落としどころなんかを見ていると、命を懸けてガチでやりあっているようには到底思えないのですけど、この甘さと優しさが「フェンネル大陸」の世界観で、フェンと著者が究極的に目指している場所なんですよね。理想論上等。たまにはそんな小説が世の中にあったって良いじゃないですか。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

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