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300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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高里椎奈『風牙天明 フェンネル大陸 偽王伝』

風牙天明 フェンネル大陸 偽王伝 (講談社ノベルス)風牙天明 フェンネル大陸 偽王伝 (講談社ノベルス)
高里 椎奈

講談社 2006-01-12
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★★★★☆
子供の相手が出来ぬというなら……王を名乗ればシスタスに逆らえるというなら、喜んで名乗ってやる
偽王、ここに立つと!

他国を侵略、王を粛清するシスタス。この大国に対抗する小国連合を作るべく大陸を駆けるフェン、ロカ、リノであったが、彼らにもシスタスは圧倒的な力で牙を剥く! だが希望失われしその時、大国に弓引く者出現。その者、自らをこう名乗る――「偽王」。シリーズ名に隠された謎が今、明らかに。


「フェンネル大陸 偽王伝」第5作。
 前巻の最後で大国シスタスが皇王宣言を行い、真の王であるシスタス皇王以外で「王」を名乗る者は無条件で粛清するという暴挙に出始めます。シリーズ名にも掲げられた「偽王」なるフレーズの意味が明かされる今作。真の王に対して偽の王、と。最初は聞き慣れないフレーズでしたが、なるほど合点がいきました。
 さらにはソルド王都を奪還した銀の髪の英雄の噂が人々の間で囁かれるようになり、国境攻めの折にフェンに命を救われたリーク兵や、民を民とも思わないリークの双貴族に彼女が真剣に訴え掛ける姿を目にした人々が口々にフェンの名前を口にする。シスタスに牙を剥くために偽王を名乗ったフェン自身の与り知らぬところで彼女を支え、その軌跡を伝える人がいる。だからこその「偽王伝」、語り継がれる物語になるわけです。

 本格的な侵攻開始に伴って話の筋も複雑化。本作ではコンフリーへ向かったフェンとテオ、リーク双貴国を訪れるリノ、サルトリィ公国同盟参加を打診しに行くロカとリー・レイの3つの物語が同時に進行し、そこに闇堕ちしたアシュレイまで絡んできてそれぞれ読み応えのあるエピソードが展開されます。
 『闇と光の双翼』の何気ないシーンが伏線になっていたことが明かされたのには驚きました。『孤狼と月』といい、本作といい、思わぬところで不意打ちを食らうのもこのシリーズの魅力です。さすがはメフィスト賞作家といったところでしょうか。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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2012年に読んだ小説の        ベスト5はこれ!!

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1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

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