2011.12/05 [Mon]
探偵小説研究会『2012 本格ミステリ・ベスト10』
![]() | 2012本格ミステリ・ベスト10 探偵小説研究会 原書房 2011-12-05 売り上げランキング : 288080 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★★☆
特大インタビューは『謎ディナ』の東川篤哉、推協賞の深水黎一郎、そして人気シリーズ完結の篠田真由美。総点数7000点のランキングをはじめとして映画、コミック、ゲームまで一年間を総まとめ!
いやぁ、今年は大番狂わせでしたね。発売日に買いに行っても並んでいなくて店員さんに出して貰ったこともあり、家に帰るまでランキング順位は確認できないままのお預け状態。それだけに本を開いて驚きました。ベスト3はまあ順当だろうという感じでしたが、なんといってもその次です。第4位 城平京『虚構推理 鋼人七瀬』! 古野まほろが11位『命に三つの鐘が鳴る』、15位『天帝のあまかける墓姫』と20位圏内に2作入っています!!
しかもまほろは作家別得票ランキングでは第3位、ネット投票ではベスト10に対象期間中に刊行された3作品すべてがランクインするという驚異の快進撃。まほろファンとしてこれほど喜ばしいことはありません。
まあ今回対象だった3作品は講談社ノベルス刊の「天帝」4作、「相剋」5作に比べるとどうしても作品レベル的には見劣りしてしまうと個人的には感じたりもしてちょっと複雑なのですけど、それはそれとして。
『虚構推理』の4位は意外でした。自分の中では『開かせていただき光栄です』よりも面白かったとはいえ、作品のスタイルが特殊なこともあってここまで支持が集まるとは考えていませんでした。でも、本格の可能性を拡げるという見地からすれば全然アリですよね。未読の方には改めて薦めておきます。
他に触れておきたいのはやはり、27位 三上延『ビブリア古書堂の事件手帖』でしょう。レーベルがメディアワークス文庫で作者もライトノベル作家という本格ミステリとはまるで縁のないところから生まれた、今年最大の収穫ともいえる作品です。惜しむらくはこの作品、第2巻に投票している人も2名いて、それらがどちらとも1巻目に入れていれば+14ポイントで20位以内に食い込めたんですよね。しかしどちらにしても、こういった小説がジャンル外から出てきて、さらにベストセラーにまでなった意義は想像以上に大きいです。
わがお気に入りの『浜村渚の計算ノート』は今年もまったくのノータッチでした。来年こそは青柳碧人が評価されることを祈っています。
なお、今年は例年通りの企画に加え、ゼロ年代短編ベスト10も掲載されています。麻耶雄嵩の「こうもり」は本当に凄かった。騙されてない!みたいな(意味不明な人は是非読んでみてください)
初野晴の「退出ゲーム」もこの手のトリックが作中人物にも意味のあるものとして書かれているところが斬新でした。
私は短編集は好きではないので殆ど読みませんが強く印象に残っているものを強いて挙げるなら西尾維新の「まよいマイマイ」ですかね。アレは連作短編形式がミステリとしての質を高めることに繋がっているから少し邪道? いや、まず文章量が短編じゃないかも。
記事を読んで気になったものもいくつかあるので順次読んでいこうと思います。
スポンサーサイト
Comment
Comment_form