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300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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トロイ・デニング『スター・ウォーズ タトゥイーン・ゴースト(下)』

スター・ウォーズ タトゥイーン・ゴースト〈下〉 (ソニー・マガジンズ文庫―Lucas books)スター・ウォーズ タトゥイーン・ゴースト〈下〉 (ソニー・マガジンズ文庫―Lucas books)
トロイ デニング Troy Denning

ソニーマガジンズ 2003-10
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★★★☆☆
おれも不思議に思ったよ。だからベルーに聞いたんだ。
アナキンは自分の強さが足りなかった、と二度も言ったそうだ。
一度めはシミを助ける力がなかった、と。そして二度めは、ただ強くなかった、とね。

奪われた名画を追って、ハンとレイアは砂漠へ向かい、帝国軍の探索隊も出動する。かつてルークが暮らしていた農場に立ち寄ったレイアは、現在の農場主であるダークライターから、祖母シミ・スカイウォーカーの日記を手渡された。そこには、人々から慕われる純真なアナキン少年の思い出が綴られていた。父ダース・ヴェイダーを憎み、己の血を呪うあまり子供をつくることさえ 拒否しているレイアは、とまどいをおぼえる……。


「スター・ウォーズ タトゥイーン・ゴースト」下巻。
 うーん。スクイブ三人組の言動もいい加減ウザウザしく、下巻になってやや失速してしまった感アリ。というのも本作ではレイアとハンが子供時代のアナキンの噂を聞き、シミのホロ日記を見つけること自体が読者目線では既にクライマックスになっていて、それらの衝撃的なイベントをすべて上巻の段階で終えてしまっているのです。
 下巻ではシミがクリーグ・ラーズとどのようにして出逢い、どういった経緯でワトーの元を去ることになったのか~タスケン・レイダーに誘拐される前夜までのホロデータが登場し、それはそれでファンとしては興味深い内容ではあるのですけど、メインストーリーがタトゥイーンの砂漠に逃亡したキットスターを追い掛けるだけなのでどうしても規模の小ささが否めない。百戦錬磨のソロ夫妻がいまさら帝国のトルーパー風情なんぞにやられるはずもなくて、端的にいって盛り上がりに欠ける部分があります。

 大捜索の末に、レイアとハンが行きつくのは『EP2』でアナキンが犯した最大の罪――タスケン・レイダー虐殺の跡地。あれから数十年、サンドピープルたちの間ではアナキンの行為はゴーストの仕業として畏れられ、結果的に第二第三のシミ・スカイウォーカーを生むことになっていたとは皮肉な話です。シミを連れ帰った後のアナキンの心情が補強されているのもポイントでしょう。アナキンのキャラクター性って本当に、『クローン・ウォーズ』やスピンオフ小説によって大きく助けられていますよね。映画版だけ観ているとクソ生意気なだけなんですけど、こういう真摯な面があるから見限れない。
 自分がヴェイダーにカーボンフリーズされた事実を重々承知の上でなお、ハンがアナキンの“過ち”に多分の理解を示すシーンもあり、そのイイ男っぷりには頭が下がるばかりです。

 設定年代が「スローン三部作」直前なこともあって作中にはアウトバウンド・フライトや赤い目の将校といったワードも出てきます。スローンの名前は出てこないため解説では「もしかしたら本書の赤い目の将校がスローンなのかもしれない」的なことが書かれていますが、時代背景を鑑みるに、まず確実にそうでしょうね。
 それにしてもこの小説、レイアがアナキンの中にも善性があったことを知り、スカイウォーカーの血を受け入れる覚悟を決めたわけですけど、そうしてできた息子のジェイセンが後にシス卿ダース・カイダスへと堕ちて第二次銀河大戦を引き起こす未来を考えると、相当に鬱な作品ですよね……。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

当ブログはリンクフリーです。
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