積読本は積読け!!

300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

Entries

杉山幌『嘘月』

嘘月 (講談社BOX)嘘月 (講談社BOX)
杉山 幌 キナコ

講談社 2011-08-02
売り上げランキング : 435809

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

★★★☆☆
笑って、取ってやるから動くなよと続けてから、鈍感キャラではないおれは、
実在しない蛾を追い払うフリをしながら、瀬谷の頭を撫でた。

生徒の「能力」の研究・開発を目的とする高校・織乃学園。中でも数人しか居ないSランク特待生である猫目の美少女・瀬谷伊音は、何の能力も持たない「おれ」こと佐々木理久を妙に敵視している。理由は理久がみんなに吐いている、ある『嘘』……。そんな中、「異常者の集まる織乃学園に罰を」という血文字の落書きが出現して――!? 『嘘』が分かる彼女と、みんなを『騙』しているおれ――ふたりの微妙な関係は、学園に潜む悪意に呑み込まれていく。


 電子書籍雑誌『BOX-AiR』からの単行本化という珍しい経緯を持つ1冊。遂にこういう時代がやってきたか。それが理由なのか、はたまた講談社BOXだからなのかはわかりませんがこの本、めちゃくちゃ高いです。200ページないのに1050円ってどんだけなの。しかし、それで損をしたとは思いません。続刊が出たら迷わず購入してしまうくらいに面白かっです。
 ちょっと斜に構えつつも熱いものを持っているイマドキな主人公も、人付き合いが極限に苦手なヒロインも、脇を固めるキャラクターも総じて魅力的で彼らの織り成す物語をまだまだ読みたいと思わせてくれる。西尾維新『鬼物語』の投げ込みチラシで興味を惹かれて手に取ってみたのですが、これは拾いもの。読んで良かったです。

 ただこの作品、キャッチコピーが学園異能ミステリ・青春探偵譚なんですよね。主人公の理久は目の前に謎があれば解かずにはいられない「小市民」シリーズの小鳩君ちっくな探偵脳の持ち主。彼とその友人たちが「能力」の絡んだ不可思議な“事件”を解き明かしていくのですが、それがミステリ風味のライトノベル(講談社BOXは分類的にはライトノベルレーベルで合ってますよね?)の域を出ていないのが惜しい。
 そもそも最初の時点で本作における「能力」の在り方を具体的に説明しておかなかったのが最大のミスで、この世界観でいう「能力」とはどんなものとして設定されているのか、その応用範囲や限定条件はどうなっているのかがいまいちわからない。判然としないまま読み進めるから、いざこんな能力が使われていたんですよ、と種明かしされても「ふうん」以上に驚きようがないのです。
 同じような設定の学園異能ミステリ系では、蛍たかなの『アイリス・ゼロ』というマンガがそこらへん非常に巧く転がして高水準なストーリーを展開しているだけに、余計にそう感じてしまいました。

そんなわけなので続刊に期待、というか本当に続きを出してほしい(こう見えて、結構ハマってます)


スポンサーサイト

Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

ご案内

プロフィール

はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

当ブログはリンクフリーです。
お気軽にどうぞ。

カレンダー

07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

ただいまの積読本

現在:456冊                        目指すは未踏の500冊! 最新の15冊を表示。                 冊数をクリックするとすべての積読本を見られます。

ブログ内検索

作家別作品アーカイブ

過去の読書記録はこちらから。 作家名が五十音順に、それぞれシリーズごとに見られます。

評価について

★☆☆☆☆ 破り捨てたい衝動に ★★☆☆☆ うーん。これはびみょ(ry       ★★★☆☆ 普通に面白いです ★★★★☆ 一読の価値アリ ★★★★★ 殿堂入り                ★×4以上は自信を持ってオススメ  ★×5はとりあえず読んでほしい傑作

2014年のベスト5

2014年に読んだ小説の       (暫定)ベスト5はこれ!!

2012年のベスト5

2012年に読んだ小説の        ベスト5はこれ!!

2011年のベスト5

2011年に読んだ小説の          ベスト5はこれ!!

1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

最近の記事

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

アソシエイト

アクセス解析