2011.11/12 [Sat]
トロイ・デニング『スター・ウォーズ タトゥイーン・ゴースト(上)』
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★★★★☆
バクラで父が現れたあと、わたしは決めたの。それはあなたもわかっているはずよ
銀河にもうひとりのダース・ヴェイダーをもたらす資格は、わたしにはないわ。
エンドアの戦いから約5年後、新婚のハン・ソロとレイアは、オルデランの名画『キリック・トワイライト』が競売にかけられると聞いてタトゥイーンを訪れる。その絵には、反乱軍時代から活動を続けているスパイ・ネットワークの情報が隠されており、帝国軍の手に渡すわけにはいかないのだ。だが、アナキン・スカイウォーカーの親友だったキットスターが幻の名画を奪って逃げてしまった!
「スター・ウォーズ タトゥイーン・ゴースト」上巻。
『EP6』の5年後――竹書房より刊行された『レイアへの求婚』から8ヶ月後の物語だそうで。本作のポイントはなんといっても、幼少時のアナキン・スカイウォーカーを知る人物たちと接することによってレイアがダース・ヴェイダーではない父親の一面を知っていくというところ。タトゥイーンでは未だに、人間で唯一ポッド・レースを優勝した伝説的パイロットとしてアナキンの名が語り継がれているのです。
本作で重要なアイテムとなるのがシミ・スカイウォーカーのホロ日記。オーウェン叔父さん、ベルー叔母さん亡き後、ルークの育ったラーズ家に移り住んだダークライター夫妻(ローグ中隊のギャヴィン・ダークライターの両親)が、娘が見つけたものだとレイアに手渡します。そこに記録されていたのはアナキンがクワイ=ガン・ジンと共に旅立って以降、離れ離れになった息子を日夜心配するシミ・スカイウォーカー=祖母の姿でした。
しかもなんと、日記にはモス・エスパ・アリーナで40年前に行われたポッドレース映像まで保存されているじゃありませんか。そう、われわれが劇場で観た『EP1』のあのレースを、時を超えてレイアがその目に焼き付けるという全SWファン歓喜の内容なんです、この小説。
旧三部作よりも先の未来を描いていながら、『EP1』と『EP2』の間を埋めるブリッジ・ノベルなっているのも面白い。アナキンがタトゥイーンを去った後、シミやワトーやアナキンの友人たちがどうなったのか。これを読めばそんな脇役たちのその後がわかります。
個人的にはワトーの人の好さがこれでもかというほど描写されているのが嬉しかったです。何を隠そう、私がSWの中で最もお気に入りのキャラクターがワトーでして。ルークでもオビ=ワンでもハンでもレイアでもドロイドふたりでもなく、どうしてそんなマイナーキャラを?と首を傾げる人もいるかと思いますが、『EP2』でジェダイになったアニーと再会して心から喜んでいるシーンで惚れて以来、すっかりワトーファンなんですよね。
クワイ=ガンがナブーで殺されたと聞いてアナキンはタトゥイーンにいた方が幸せだったと嘆き、シミがジェダイ評議会に送ったメッセージに返答がなくて怒り狂うワトー。これを読んでワトーを好きにならない人はいないハズ。そういう意味でも、ひとりでも多くのSWファンに読んで貰いたい作品です。
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