2009.06/12 [Fri]
西尾維新『真庭語』
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★★★★☆
あたしに仲間を殺せとか、言うなよ……
この国が戦国で、この世が乱世であった頃――。不穏な気配ただよう歴史の暗がりで、静かに命の火花を散らす者達がいた。その名も、真庭忍軍。
“しのび”である彼らが、この時代を生き抜くために選ぶ新たな道とは――!?
『刀語』スピンオフ。
というか何百年か過去に遡っての番外編です。
本編登場時はイタい感じのお姉さんだった真庭狂犬が超絶キューティクルになり、語り部的なポジションで紡ぐ連作短編集。虚刀流開祖とかも出てきます。少しだけ。
はっきり言って今作、西尾維新の作家としての抽斗の多さに改めて驚かされました。まさに作家・西尾維新の面目躍如!
全4編ですが、「蝙蝠」はミステリ、「喰鮫」は異能者列伝、「蝶々」はハートフル青春ストーリー、「白鷺」は心理戦ギャンブルもの、と各編まったく毛色が違うので一粒で4度おいしい。しのびの数だけ個性がある真庭忍軍らしいっちゃあらしいですね。
どれも魅力的なキャラだけに、何百年後かの“跡継ぎ”の弱体化が悲しいですね。これはこれでなかなか面白いので“まにわに”シリーズとして恒久的に出し続ければ良いのに。そうすれば狂犬の活躍がたくさん読めるし(完全に虜)
★×4は甘いかな~とも思ったけど、内容のバラエティさと真庭狂犬の可愛さに捧げます。
てかタイトルは『真庭語』なのか『真庭語 初代~』なのかはっきりさせてほしいところ。作者と編集者の方で認識の齟齬がありそうね、これ。
しかし、維新本は本編完結⇒スピンオフのパターンが多い。この『真庭語』とか『零崎一賊』、『「きみとぼく」本格ミステリ』に『化物語』。後者2つは結局本編シリーズ延長というカタチに変化したけど。『刀語』は仕方ないとして、別段そんなに完結させることに拘らなくて良いと思うんだけど――。
『戯言シリーズ』とかも、ミステリが書きたくなったらシリーズ新刊とかでさ。まぁキレイに完結させた、終わりある物語が好きみたいだから仕方ないのかもしれないけど。
作品のファンとしてはちょっと淋しかったり。
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