2011.10/26 [Wed]
相棒 Season 10 第2話「逃げ水」
★★★★☆
5年前に新開拓海という青年を殺害、5年の懲役刑を終えて出所したばかりの川北誠也が何者かに殺害された。現場の状況から怨恨による犯行とみられ、容疑者として拓海の父・新開孝太郎が浮上する。「犯人の刑が軽すぎる」と損害賠償を求める民事訴訟を起こしていた孝太郎。その弁護士となったのが、元法務大臣の瀬田とわかり、右京と尊はさっそく会いに行く。瀬田によると、川北は1億円あまりの賠償金の支払いを命じられていたが、いまだに一度も払われていないという。
今週も重かった。Season 10、第1話に続いて第2話までも胃もたれを起こしそうなくらいの社会派ものです。被害者遺族の既に怒りでもなくなってしまったやり場のない感情と加害者家族のその後。そこに司法の問題点やマスコミ批判も盛り込んでぎちぎちに濃密な1時間でした。
民事訴訟における賠償金1億円の支払い命令には法的拘束力がなく、払う/払わないはあくまでも本人間の問題だという投げっぱ具合は明らかに欠陥ですよね。裁判費用は掛かるわ、結局のところ気休めの自己満足を得るに過ぎないわと散々な法制度です。そこにマスコミが乗り込んできて遺族の心情丸無視で根掘り葉掘り訊いてきた挙句に、あることないこと書き立てる。ただでさえ息子を殺されているのに、その心労といったらありません。
加害者家族の方もそれはまた同様で、自分の家族が犯罪者というう事実を徹底的に追及され、やがて精神的に追い込まれていく。
今回の事件で最も悪いのは言うまでもなく川北です。無いに等しい理由で人を殺して、自分に関わるすべての人間を不幸のどん底に引き摺り落としても尚、反省もしないでのうのうと生きている。そこに弁護の余地はないです。しかし、その次にこの悲劇を生み出す原因となったのはやっぱりマスコミの在り方にあると思うんです。既に絶望の淵に立っている人間を谷底に突き落とす、最後のひと押しをしたのは紛れもなく何の配慮もなく土足で人の心を踏みにじっていくマスコミ取材ではないでしょうか。こういった作品を観ると、震災直後に両親を喪った子供にインタビューを敢行して号泣させていたあの胸糞悪い現地リポートを思い出します。閣僚の言葉尻を捉えては騒ぎ立てて辞任に追い込んだりして、お前らはいったい何様なんだ、と。
――まぁ、私は日々マスコミに対して怒りを燃やしている人間なので不満を述べようとするといくらでも書けるのですけど、なんだか脱線気味になってしまったのでこの話題は適当に切り上げるとして。
社会派な部分はこれでもかと力が入っていた今週放送分ですが、事件そのものの見せ方はやや甘かったです。特命係で右京さんが課長に煙草を吸わせているシーンがあるとはいえ、犯人特定の鍵となるのが画面こちらの人間には伝わってこない“匂い”というのがなんとも微妙なところ。少なくとも家を訪れた際の反応として描いておくべきでした。また、遺体の背中にあった下足痕に関しても、検死結果を開示すれば意図的に踏みつけられたものではないとはっきり断言できたはずなのに、人間ドラマに重きを置きすぎたためにその辺りのことがわりかしなあなあに処理されています。謎解きとしてはもうちょっと頑張ってほしかったです。
それはそうとて川北のお姉さん役、まさかと思ってエンドクレジットを見ていたらやっぱり石橋けいでした。『ウルトラマンガイア』から13年、『ウルトラマンメビウス』放送から既に5年。仕方のないこととはいえ老けたなぁ……。少なからずショックを受けてしまった。
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冒頭
冒頭の、10月なのに暑い・・というのは、実際のロケの日が暑かったことのいいわけではなかったんですね・・