2011.10/20 [Thu]
全民煕『ルーンの子供たち 冬の剣(6)』
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★★★☆☆
一日も早くぼくのことを忘れてください。でも、ぼくは司祭のことを忘れません。
シルバースカル大会で優勝を手にし、“月の島”へ戻ったボリスは、栄誉ある爵位を与えられる。周囲から注がれる期待と嫉妬に苦悩するボリス。――「今度はどこへ行けばいいのか」。そんな時、ボリスは、伝説の“いにしえの王国”と“月の島”を繋ぐ隠された真実を知ることとなり――。
「ルーンの子供たち 冬の剣」第6作。
前巻でシルバースカル大会も無事終了し、今回メインとなるのはオイジス暴行事件と蔵書館焼失事件。残すところあと1冊なのに復活したイェーフネンや追っ手等々の本筋がまったく絡んでこないのには驚きます。このペースで本当にちゃんと完結できるのか心配になってきた。いや、親本があるから一応まとまってはいるハズですが、そこはかとなく心配してしまう。
シルバースカル大会の優勝によって島の住人からはさらに近寄り難い存在となったボリス。しかしエキオンを始めとした一部のスコーリの生徒からは当然の如く反感を買うことなり、その怒りの矛先は弱者であるオイジスへと向かいます。オイジスを襲った連中が悪いのは明白ですけれど、約束をすっぽかしたり友人にすべてを話さなかったボリスにも相当程度罪はあると思います。結局のところボリスの考え方は未だに狭量で他人を心の底から信用するということができていないんですよね。オイジスに対しても決して対等な友達関係には見ていない。
それに対してヘクトルがここに来てかなり良いキャラに育ってきました。シルバースカル大会で敗北したこと、ボリスと闘えなかったことに執着するでもなく、心も穏やかにどこか悟ったような態度ですらあります。かつてボリスに嫉妬心を燃やし、亡き者にしようとした愚かな少年はもういません。ボリスも早く彼に追いついてほしいものです。
リリオペと摂政閣下とのひと悶着を経てボリスは島から追放されることとなり、いよいよ物語も大詰めです。とりあえずイソレットとヘクトルとの再会はあるにしても、はてさてどうなることやら。少なくとも現段階ではハッピーエンドの訪れる気配がまったくしないのですが。
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