2011.10/18 [Tue]
映画『ザ・インターネット』
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★★★☆☆
誰も家から出なくなった。セックスもしなくなった。ネットこそ究極のコンドームだ。
L.A.に住む孤独なシングルウーマンのアンジェラ・ベネットは、フリーのコンピューター・アナリスト。ある日、彼女は得意先のカシードラル社のデイルから、インターネット・プログラムから偶然にも、政府関係の機密データを発見してしまったとの相談を受ける。アンジェラはそのデータをディスクで入手するが、直後、デイルは自家用機の事故で死亡。彼女はショックを受けるが当初の予定どおり、久しぶりのバカンスでメキシコに向かい、そこで魅力的な男性ジャックと知り合う。だが、ジャックは彼女を洋上に誘い出し、ディスクと彼女の命を奪おうとした。必死で逃れたアンジェラが帰国してみると、住んでいたアパートが空室にされていたばかりか、彼女の個人情報は別人のものにすり替えられ、見知らぬ女性がアンジェラになりすましているという信じがたい事態が待っていた。 (1995年 アメリカ)
「ザ・インターネット」シリーズ 第1作。地上波で放送があったので録画視聴しました。
コンピューターに依存することの危険性を説いたサスペンス映画です。16年も前の作品だけあってパソコンは大きくディスプレイに映し出される諸々の表示も懐かしさを感じさせるレトロさ。データの移動もフロッピーディスクに頼り切っているため、現在の環境に馴れた身では多少の古臭さを感じないこともありません。ネットワーク内のデータ書き換えによって金融業界を混乱させ、莫大な利益を得ようとする犯人像もいまやありふれています。
しかし、本作は1995年製作の映画なのです。ちょうどこのあたりから一般の人々でもPCに触れられるようになってきた、そんな黎明の時代に作られたことを考えるとその先見性たるや、驚くべきものがあります。ここで説かれるコンピューターへの依存化による危険性は、そのまんま現代のわれわれが直面している問題だからです。
引きこもり気味で友人はネット上のチャット相手のみ、ご近所とも顔を合わせない生活をしているアンジェラはデータが書き換えられた際に生身の彼女を知る人間が誰もいないことで、いとも容易く別の人間に仕立て上げられてしまいます。おまけにキーボード上の指先ひとつで過去の犯罪歴をでっち上げられ、“無かった犯罪”の指名手配犯として警察に追われるしまう始末。
そんなに簡単に上手くいくものか、と勘繰る気持ちを抱く人もいるかもしれませんが、これも時代背景に照らし合わせてみると割と納得できることで、要するにPC過渡期だったこの時代は、過渡期故に新しいシステムであるコンピューターを過度に信頼しすぎていたのではないでしょうか。それこそ安全神話ではないけれど、これほどの高度な技術が籠絡されるわけがないと誰もが信じ切っていたからこそ、アンジェラの言葉に誰も耳を貸ず、不自然すぎる状況がごく自然に成り立ってしまった。まさに時代が生んだ1本というべき作品です。
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