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映画『猿の惑星:創世記』

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★★★★☆
サンフランシスコの製薬会社研究所に勤める神経化学者ウィルが実験用に観察していた一匹のチンパンジーに驚くべき知能が示された。そのチンパンジーには開発中のアルツハイマー病の新薬が投与されていたが、突如暴れ出し、警備員に射殺されてしまう。だがそのチンパンジーは妊娠しており、ウィルは生まれたばかりの赤ん坊猿を自宅に連れ帰り“シーザー”と名付けて育てることにする。3年後、ウィルのもとですくすくと育ったシーザーは、家の中を縦横無尽に駆け回るようになった。ウィルとシーザーとの間には強い絆が生まれており、同時に母親のチンパンジーの特殊な遺伝子を受け継いだ彼は、類いまれな“知性”を発揮し始めていく。 (2011年 アメリカ)


「猿の惑星」第6作『猿の惑星:創世記』を観てきました。
 リメイクである2001年のティム・バートン版を除けば、前作『最後の猿の惑星』より実に40年ぶりの続編。「猿の惑星」は私にとって「スター・ウォーズ」の次に好きなシリーズ作品でリメイク含めて6作品すべて鑑賞済みです。しかし思い入れが強すぎるが故、今回の新作公開の報を初めて聞いたときには素直に喜ぶことができませんでした。
 というのも「猿の惑星」って『猿の惑星』~『最後の猿の惑星』で究極に完成されていると思うんです。いまさら旧作のネタバレに配慮するのもアレなので書いてしまいますが、猿が人類を支配するところから始まって一度は地球そのものを破壊するところまでいってしまった対立を、時間改変という大きな変遷を経て最終的に共存というゴールまで持っていく。長い年月を費やし、時空間を隔ててようやく迎える大団円は、それはもう感慨深いものがあり、第5作のラストシーンには「猿惑」という作品のすべてが込められているといって良い。ティム・バートン版は問題ないのです。旧作と完全に世界観を異にして時間ものであることに開き直った作劇も、それはそれで楽しめたから。
 でも、今回はあの5部作に直接連なることになる前日譚だというじゃないですか。これまでのシリーズを観ていたらそんなものは蛇足だとわかるハズなのですが、どういうわけか昨今のエピソード1ブームに便乗して製作されてしまったわけです。

 ただ、いざ観てみると困ったことにこれが普通に出来が良い。過去6作品中でも最上位クラスでしょう(『続・猿の惑星』や『最後の猿の惑星』など残念脚本も少なからずあるし)
 アルツハイマー治療薬が猿の進化を促すのってどういことなの、という疑問にもある程度説得力のある説明が為されるばかりか、この薬の効能もなかなか考えられています。類人猿の知能発達に寄与するのは当然として、効能が遺伝する設定にしたのは巧いです。これによって直に薬の影響を受けなかった猿たちも交配のよって優性猿を増やすことが可能になる。つまりは年月を経るごとに優性猿たちが増える仕組みなのです。後は自然淘汰で云々かんぬん。
 逆に新薬は人間には悪い影響を及ぼします。ただ単にちょっと知恵をつけた猿VS人間ならば第1作のような世界にはならないでしょうが、ヒトに対して効果抜群・対策不可能のウイルスの存在が猿がヒトの上に立つ社会を作るのを大きく手助けしていくのです。

 ドラマパートも見応えがありました。シーザーが保健所送りにされる原因となった過剰行動をとる理由も十二分に理解できるし、施設でボス猿・ロケットに目を付けられ→新ボスへの流れも順当です。サーカスで飼われていたオランウーターンが手話を使えるのにも納得。長らく狭い檻に閉じ込められていたゴリラが解放して貰ったことをキッカケにシーザーを自分の上に立つ者と認めるところもその心情がよくわかる。本作の猿たちはまだまだ現代と変わらない容姿をしているため、見るからに猿です。そんな彼らにキャラクター性を割り振り、人間ドラマの主役として感情移入させてしまう技量は並大抵のものではありません。
 ウィルが迎えに来たときにシーザーが彼を拒否したのも、虐待されている仲間を見捨てて自分ひとりが幸せにはなれない、という苦渋の選択で自然な流れで運命の分岐点である猿たちの暴動へと繋げてゆきます。最後の公園でのシーンからも汲み取れるようにウィルとシーザーは別段、袂を分かったわけではないんですよね。お互いがお互いの意思を尊重し、本来あるべき場所へと帰っただけ。そこには確かな絆があります。
 主人公であるウィルが責任感に乏しく、最悪のケースを想定して行動しないからこうなったとの意見はあるとは思います。ですが、ウィルにとっていちばん大切なものは他人とか街とか世界とかこれからのことなんかよりも、いま目の前で苦しんでいる家族を幸せにすることなんです。それは結果としては世界の破滅を招くことになるけれど、それでもシーザーが幸せならば構わないと感じる心は人間として間違ってはいない。そして、猿の惑星が生まれた原因となる感情が、憎しみでも怒りでもなくて皮肉にも思いやりと愛情だったというところがこの話をただのバッドエンドとは違うやりきれないものにしている。まさしく、悲劇。

 最初に述べたように「猿の惑星」をシリーズとして見た場合、この作品は蛇足です。『最後の猿の惑星』の達成感を崩す形になる6作目は、シリーズとしての締まりを考えると歓迎し難い。しかしながら第1作へのリンクを丁寧に張り、「シーザー」の名前にさらなる重みを加えたという意味でもサーガのうちの1本としては成立しています。もしシリーズ6本を通して観るのであれば、結末(第5作)は変えずに第1作と第2作の間に本作を挿むのがベストかと。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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