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西尾維新『刀語 第十二話 炎刀・銃』

刀語 第十二話 炎刀・銃 (エントウ・ジュウ) (講談社BOX)刀語 第十二話 炎刀・銃 (エントウ・ジュウ) (講談社BOX)
西尾 維新 竹

講談社 2007-12-04
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★★★☆☆
……じゃ、そろそろ行くか
虚刀流・鑢七花と奇策士・とがめによる伝説の完成形変体刀蒐集の旅は、否定姫の腹心・左右田右衛門左衛門の所有する最後の一本―炎刀『銃』を前に、最期にして最悪の試練を迎えていた――。容赦なく、迷いのない“弾丸”に貫かれたとがめを、七花は果たして救うことができるのか――!?


『刀語』第12作にして最終作。
いよいよ完結巻です。

(以下、ネタバレ)



 こちらの淡い期待も儚く、とがめ死亡という結果になってしまったわけですよ。刀集めが終わったらふたりで旅に出る――というラストを予想していたけれど、当たらずしも遠からず。これはこれで良いラストだったと思います。

 七花はとがめといる限りどこまでいっても“刀”で、“人間”になるためにはやはり、とがめとの別離が必要というか。とがめと一緒なら七花も幸せかもしれないけれど、そこでは得られない“何か”がその先には確実にあって、「きみの死を乗り越えて、ぼくはまた明日も生きていく――」みたいな。ちょっとケータイ小説ちっくですけど。

 また、この作品、実は否定姫がもうひとりの主役であったことにも気づかされます。とがめのことが好きだったのなら暗殺なんかしなければ良いという意見もあるかと思いますが、やっぱりそこは幕府内に籍を置くものとして。かつての謀反者の一族の生き残りだと判った以上、殺さなくてはならない。それがどんなに嫌であろうと。命令というよりも責務。
 四季崎記紀という呪縛に縛られ愛する腹心を失い、尾張幕府によって好敵手を討たなければならなく。その結果そうなったかというと、どうもならなかった。悲しいっちゃあ悲しいですけど、やはりそれがなければ今も幕府に飼いならされたままで、こうやって気楽な旅に出るという人生の選択肢は生まれなかったはず。いろいろなものを失ってはじめて、否定姫はようやく“自分”を手に入れたんですね。
 だからこのラストはハッピーエンドなんです。本当に自由になったふたりの、気ままな旅のはじまり。


 今巻、戦闘描写に関してはあっさりめです。縛りがなくなった七花=無敵という感じで。そこに関する不満も結構目にします。
 しかし思うに、『刀語』という作品は本当に対戦格刀剣花絵巻なのか、という話です。もちろん、文中でもそういっているからにはその通りなんでしょうけど、西尾維新が本当に描きたかった――あるいは描いていたのは“刀集め”を通して人が成長していく様なのではないでしょうか。

 第1話『絶刀・鉋』で七花が真庭蝙蝠に勝った決め手は「人間を見分けることができなかったから」。人間にはまったく興味が無かった、それこそ自我がなかったに等しい状態でした。
 それからとがめと旅に出て、刀集めに際して人を殺すことを覚え、やがてその普通に人を殺すことに疑問を感じるようになり、人を好きになって、己の内面と向き合って。その集大成が四季崎記紀に“認められた”ことです。

 だから『誠刀・銓』や『毒刀・鍍』は七花の戦闘場面がないに等しかったんです。心理面に重きを置いていたから。と、同時に『刀語』が単なる対戦ものでないことも示しています。なんせ“戦わないこと”を教示されてるくらいですから。そう考えると、今巻のあっさり具合も納得できるだろうと思います。


最後になりましたが。
『刀語』完結から1年半と遅々ではありますが、維新さん、1年間本当にお疲れさまでした。

ん?まだ『真庭語』が――


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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