2011.09/24 [Sat]
アガサ・クリスティ『青列車の秘密』
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★★★☆☆
初めてお会いした時には、マドモアゼル、あなたは人生の傍観者でした。
観客席に寄りかかって劇を見ているような、静かで面白そうな表情を浮かべていらした
走行中の豪華列車“ブルー・トレイン”内で起きた陰惨な強盗殺人。警察は被害者の別居中の夫を逮捕した。必死に弁明する夫だが、妻の客室に入るところを目撃されているのだ。だが、偶然同じ列車に乗り合わせたことから、事件の調査を依頼されたポアロが示した犯人は意外な人物だった!
「エルキュール・ポアロ」第6作。
最初にひとつ謝らせてください。前にアガサ・クリスティを月一で読んでやる!みたいな無謀な宣言をしてすみませんでした。およそ8ヶ月ぶり、今年2冊目の「エルキュール・ポアロ」です。だってクリスティ以外にも読みたい本がたくさんあるんだもん! ムリだもん!! 作家読みは苦手なんだもん!!!
――というわけで、これに懲りて30数冊のポアロものは年に数冊ずつ、何年も掛けてゆっくりちびちびと制覇していくことにします。ライフワークにします。
今回ヒロインを務めるのはセント・メアリ・ミード村で老婆の世話係として長年勤め、彼女が亡くなった際にその莫大な遺産を継ぐことになった女性ミス・グレー。彼女が旅先で事件に遭い、掛け替えのないものに気付いていく物語です。殺人事件やポアロはフルで絡んでいるように見えても実際には添え物に過ぎません。
事件関係者はワルと悪女と天衣無縫さが逆に迷惑な人ばかり。主役のミス・グレーにしても冷静に他人を分析し、本心を外に晒そうとしないどこか冷めた姿勢があまり好みではないです。ポアロおじさんのさんざんの忠告も聞かず、聡明な割に悪い男に惹かれていってしまうのもなんだかなぁ、という感じ。
事件自体もそれほど力の入った作品ではなく、恐るべきことに肝心要の謎解きがたったの10ページで片付けられてしまいます。あまりにもあっさりとした解決編と拍子抜けするくらいストレートな真相でミステリとしてはかなり物足りない。
それでもつまらないとまったく思わなかったのは、なんだかんだ言いつつもひとりの女性の成長物語としての『青列車の秘密』に強く惹かれたからです。ロマンスあり、スリルありのミス・グレーの冒険譚。クリスティの魅力は何も謎解き要素のみに限らず、まず最初に雰囲気作りの良さがあるのです。
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NoTitle
自分は久しぶりにこういう本を読んだので手放しでテンション上がってしまいましたが(笑)、はろーすみすさんの感想を読むと確かに納得。今度こういう本を読むときは「本当にいる!日本・世界の未知生物案内」を読んでみたいと思います。
自分も思い入れたっぷりに「謎の未確認生物 UMAミステリー」の感想書いてみました。よかったら読みにHP遊びに来てください♪