2009.06/07 [Sun]
西尾維新『刀語 第十一話 毒刀・鍍』
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★★★☆☆
刀集めの旅が終われば
そなたとふたりで、そのあたりを旅してみるのも面白いかもしれぬな
伝説の刀蒐集完了まで残りあと二本!!毒刀『鍍』を手にした真庭鳳凰は触れるもの全てを斬殺する殺意の化身と化し、真庭忍軍の本拠地“新・真庭の里”に向かう。虚刀流・鑢七花と奇策士・とがめも、鳳凰と刀を追い、伊賀の山中へ!血塗れた里にひとり佇む鳳凰から告げられる、“乱世”を貫く壮大な秘密とは―!?
『刀語』第11作。
やめてええぇぇぇっ!
とがめさん、すべてのセリフからそこはかとなく死亡フラグの匂いが……
そんなこんなで第11話です。とうとう来ちゃいましたね、ここまで。
あらすじにもあるとおり、変体刀の秘密、そして「“乱世”を貫く壮大な秘密」とやらがついに明かされます。
(以下ネタバレ)
これは完全に想定外。まさか西尾維新、こんなことまで考えていたとは……恐るべし。『微刀・釵』の否定姫のセリフがここに繋がってくるわけですね、その出自と共に。
否定姫はてっきりタイムトラベラーかと思っていたのに!
まさか予知能力者による時間改変と、その影響によって歴史が歪められた世界だったとは。まるで新作『スター・トレック』。ま、ノストラダムスも何百年も先が予知できたっていうしね。有り得なくはない(まぁノストラダムスとか信じてないですけど)
で、変体刀は予見した未来の技術を用いた日本刀、と。少なくとも刀じゃないのがいくつか混じってますけど。なるほどなるほど。
――というか、この設定はすごく面白い!
しかし。このシリーズ、いままで和風異世界トンデモバトルと決め付けてました。すみません。
思えば、一話目を読んだとき“西尾維新初の時代小説”というコピーに踊らされ、正統派時代物かと思ってページをめくれば、幕府の位置はおかしいし、登場人物は時代物らしからぬ喋り方だし。「これはありえん」とか思いながら読んでましたよ。おかげでいま考えるとミステリ的にハイレベル(だと個人的には思う)『絶刀・鉋』はいまいち楽しめず、これはもう異世界なんだと割り切って読むことにしたわけですよ。
でも、それを和風異世界モノと割り切ることで徐々に馴染んでいったわけで。それが全然異世界じゃなかったという驚愕の事実。確かにこれは“時代小説”。ただし、歴史が改変されているだけで(ここ、傍点付きで)
看板に偽りなしだったわけですね。
完全に読み方を誤ってました。そして西尾維新という作家を見くびってました。SFもいけるとは。
そんなわけで今回は納得も納得。お腹いっぱいです。
しかし、真庭忍軍のかませっぷりは非道い。総頭領なのに、鳳凰……
これも時代の流れと没落忍軍の運命か、、、
残るは一冊。
とがめと七花に幸福な結末が訪れんことを。
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