2011.09/10 [Sat]
伏見つかさ『俺の妹がこんなに可愛いわけがない(9)』
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★★★☆☆
そ、そんなのあたしだってエロゲー買ってきてもらったもん!
しかも終電に間に合わなくて、でも朝まで待てなくて、あいつ親切な人に痛チャリ借りて、
アキバから千葉まで走って帰ってきたんだよ――チョー大好きなあたしのために!
凄くない? 超シスコンじゃない?
あのルリ姉に――好きな人ぉ? どーせ脳内彼氏でしょ? 8巻の顛末を黒猫の妹・日向の視点から描いた『あたしの姉が電波で乙女で聖なる天使』。腐女子の妹を「世界一可愛い」と豪語する、もうひとつの"残念な兄妹"の物語『俺の妹はこんなに可愛い』。いくつもの"顔"を持つ沙織・バジーナの"ルーツ"に迫る『カメレオンドーター』。桐乃に"トラウマ"を植えつけた瀬菜の恐るべき行動とは?『突撃 乙女ロード!』。お兄さんが彼女と別れたのって、もしかして……私のせい? あやせのフクザツな乙女心と、加奈子のライブ楽屋裏の一幕『過ちのダークエンジェル』。ほか『真夜中のガールズトーク』『妹のウエディングドレス』2本を収録! さらにはアニメOP主題歌を担当した「ClariS」とのコラボが実現! 原作の主題歌『nexus』の発売や、作中に「ClariS」の二人が登場するなど驚き満載の特別編!!
「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」第9作。
桐乃にフリフリの服は似合わないって!というのが第一感想です。
「俺妹」3rd ステージは戦後処理からスタート。前作最後で一応の解決を見たとはいえ、色んなところがとっちらかったままですからね。視点を京介から別のキャラクターに移して、既刊の裏話+新規エピソードの短編集に纏め上げられています。主人公が関知しないところでも様々な想いが行き交い、物語をつくる。わが座右の銘は“どんな脇役・端役にもその人の物語がある”なので、こういったアプローチの仕方はかなり好みだったり。
一篇目から黒猫が普通に痛い姉扱いされているところに泣けてきます。脳内彼氏と恋愛しているだなんて酷い言われようですが、そんなお姉ちゃんを誰よりも理解し、心配しつつ見守っているのもまた日向で。「堕天聖の追憶」でもそうでしたけど日向は本当に良い娘だよなぁ。
しかし今回もっとも注目すべきはあやせパートの「過ちのダークエンジェル」でしょう。というのも「俺妹」の中でいちばん描き切れていないキャラがあやせだと思うんです。あやせはどうやら京介のことを好きらしいのだけど、その一方で着信拒否とか普通にしている。ここがいまいち解せない点で、あやせの心情は私の中では最大の謎でした。その謎も今巻でようやく解けました。これまでの支離滅裂気味の言動は自分の感情に気付いてないパターンだったからなんですね。なるほどなるほど。
ついでに加奈子にまでフラグ立てしちゃって、最初の短編からして黒猫ルート確定なのにこれ以上ハーレム化を促進させるのはちょっとどうなんだろうか。個人的には好ましくない方向性です。
収録作のうち特に笑ったのが高坂・赤城両兄妹によるシスコン&ブラコン対決が炸裂の「俺の妹はこんなに可愛い」「突撃 乙女ロード!」。みんな暴走しすぎだろ! 京介の方は相変わらずの溺愛っぷりですが、瀬菜が完全に引いているにも関わらずお兄ちゃんラブを隠そうともしない桐乃がやばい。語尾が「~もん!」って。どんだけ好きなんだよ、と。興奮して熱弁を奮う嬉しそうな桐乃の顔が目に浮かびます。
「ClariS」を小説内に出したり、原作テーマソングを作ったり、作中時間を殆ど進めなかったりと大きな山をふたつ越えてもまだまだ続きそうな本シリーズ。次巻も楽しみです。
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