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300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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西尾維新『傾物語』

傾物語 (講談社BOX)傾物語 (講談社BOX)
西尾 維新 VOFAN

講談社 2010-12-25
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★★★★☆
まあ、結論から先に言って、僕と忍が時間旅行から十一年後の世界に帰ってみれば――
世界が滅んでいた。

“変わらないものなどないというのなら――運命にも変わってもらうとしよう”。迷子の小学生・八九寺真宵。阿良々木暦が彼女のために犯す、取り返しのつかない過ちとは――!? “物語”史上最強の二人組が“運命”という名の戦場に挑む。


「化物語」第6作。2nd season の2作目です。
 一般的にタイムスリップものの物語といえば大きく2種類あって、時間という概念へのアプローチとしてSFとファンタジーに分けられると思うのですけれど、前者の場合はたとえば『ジュブナイル』や『スター・トレック』、後者では『仮面ライダー電王』なんかが挙げられのですが、大体においてやっていることは過去に遡って未来を変えるか変えないかの話になるので、その作品がどちらのタイプであるのかを論じることにはさほど意味がなかったりするのかもしれません。
――と、まあ西尾維新のあとがきちっくな書き出しをしてみました、八九寺真宵フィーチャーの『傾物語』です。

 八九寺回でありながら全編に渡って活躍するのは阿良々木くんと忍のふたり組だった罠。最強のツーマンセルってそっちか!とツッコミを入れたくないこともないけどヒロインの中では忍がいちばん好きだから許す。むしろ歓迎。
 ストーリーの方はというと、溜まりに溜まった夏休みの宿題を終わらせるために霊波の流れ(?)を利用してタイムスリップを敢行した忍と阿良々木くんが、なぜか飛んでしまった11年前の過去で八九寺真宵の死亡事故を阻止するために奔走するという内容。全体を通して八九寺の登場場面は主役回とは思えないほど少ないのですが、露出を極端に下げることによって逆説的に、いざ姿を見せたシーンがより印象的に際立ちます。本作の八九寺成分はこの瞬間のために溜めていたわけです。
 出番の多さでいえば阿良々木&忍コンビが圧倒的とはいえ、物語はちゃんと八九寺メインになっている。小さいようで大きい人と人とが知り合い、繋がることの大切さ。溜めに溜めて登場を果たした彼女の姿と最後の“答え”が聞けただけでそれはもう満足すぎるほど満足でした。

 そしてもうひとつ、今回は忍の物語でもありました。阿良々木くんにとって忍はどんな存在なのか――詳しい掘り下げは『鬼物語』にて、とのことですが、今巻では忍にとって阿良々木くんがどれだけ大きな存在であったかがキーとなってきます。そもそも「化物語」は阿良々木くんと忍=キスショットとの出逢いに端を発しており、著者も“死にかけの化物を助けてしまった偽善者と彼を愛してしまった吸血鬼の物語である”と言っている。そういった観点から見ると、本作はシリーズの根っこの部分に触れたエピソードでもあったのです。


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Comment

NoTitle 

傾物語おもしろいですよね。鬼物語が楽しみです!!
管理人さんにお聞きしたいのですが星の下の紹介文は自分で考えてるのですか?よくまとめられていてすごいです
  • posted by machi 
  • URL 
  • 2011.09/10 22:31分 
  • [Edit]
  • [Res]

 

コメントありがとうございます。
実はまだ『囮物語』を読んでいないのですが、『鬼物語』は月末発売なのでなんとか間に合いそうです。

レビューは基本的に
五段階評価 + 本文から一文(斜字)+ あらすじ + 自分の感想

というフォーマットで、だいたいいつも読み終えてから頭の中を整理するために、一日二日置いてから書くようにしています。それでも書きたいことが上手く表現できないのはしょっちゅうなのですけど……。
  • posted by はろーすみす 
  • URL 
  • 2011.09/11 01:30分 
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プロフィール

はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

当ブログはリンクフリーです。
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1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

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