2011.09/02 [Fri]
映画『プリキュアオールスターズDX3 未来にとどけ!世界をつなぐ☆虹色の花』
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★★★★☆
――進まなきゃ。
立ち止まってちゃ、何も始まらないんでしょ?
まっすぐ、前進あるのみだって、さっきみんなが言ってたじゃない!
あたし、奏がいなくてすごく心細かったけど、
みんながあたしの手をとって一緒に前へ進んでくれたから――頑張れた。
北条響と南野奏は幼馴染みの中学2年生。2人は巨大ショッピングモールのオープンにやって来たが、一緒のはずの妖精ハミィがいなくなってしまう。おしゃれなショップがたくさんあって大賑わいの中、2人はなんとかハミィを発見する。しかし勢い余って、つぼみたちのファッションショーに乱入してしまう。そのとき、シプレやコフレの仲間のような妖精たちが、空からたくさん降ってくる。さらに、おもちゃの国のプラスティックの建物や、デザート王国の巨大スイーツが次々と出現する。さらに、かつてプリキュアたちが戦ってきた強敵たちが蘇り……。 (2011年 日本)
劇場版「プリキュア」通算第10作にして「プリキュアオールスターズ三部作」の完結編。
お待たせしました、『プリキュアオールスターズDX3』の感想です。実は最新作『スイートプリキュア♪』は8話まで観ていないのですが構わず鑑賞。あ、別に『スイプリ』の内容が悪いとかではないですよ? 単に溜めてしまっているだけです。前年がかなり持て囃されていたこともあって、あまり高く評価されていない『スイートプリキュア♪』ですけれど、私はなかなか好きです。親友同士がしょっちゅう口喧嘩しているのも従来までのシリーズでは見られなかったものだし、何よりも「そういう上から目線のところがキライ」とはっきり言ってしまうところが良い。仲違いとかすれ違いみたいなシチュは何度もあったけれど、お互いのイヤな箇所を指摘し合った上でそれを込んで相手を受け入れるという展開は無かった。ただの仲良しとは違う、本音と本音がぶつかり合うリアルな友達関係こそが『スイートプリキュア♪』最大の魅力といえるでしょう。
それはそれとして映画の感想をば。前年活躍した先輩プリキュアが目下成長途上にある現役プリキュアを導いていくストーリーラインは前2作と同じ。過去の映画に登場した敵キャラが復活し、それに対応してバトルフィールドもそれぞれの作品で舞台ばかりの本作は、まさしく「プリキュア」映画10作記念に相応しい。しかし、だからこそというべきか、どうしても既視感・マンネリ感が拭えないのもまた事実なのです。おまけにファッションショー壇上のいつきやつぼみをはじめとして、前半~中盤に掛けてところどころ作画に怪しい部分があります。脚本も前作の反省がまったく活かされておらず、どうして一介の中学生がファッションショーに出演しているのかフォローはされません。期待外れかな、と思ったくらいです。
が、本作は後半――それぞれのチームが特殊空間から脱出してからの流れがそれまでのマイナスをすべて掻き消し、大幅のプラスに変えてしまうほど凄まじい。歴代主題歌メドレーに乗せて敵を瞬殺、そのままの勢いでブラックホールも撃破するかと思いきやあえなく返り討ち→変身不能の絶望感が半端ない。すべての希望を失った彼女たちに残された道はたったひとつ。人間と妖精の世界を繋ぐゲートと引き換えにもう一度プリキュアになること。そしてそれは妖精たちと二度と逢えなくなることを意味していて……。
ええ、もらい泣きですよ。ブッキーが、つぼみが、響が、かれんとミルクが、えりかでさえぼたぼたと涙を零しながら笑顔を作って。反則だってば、こんなの。製作陣が本気すぎるよ! 女子中学生を泣かせるなよ!!
小清水亜美なんかめちゃくちゃ演技が上手くなっててさぁ。これがあの塚本天満と同一人物か、と。『こむちゃ』のパーソナリティをやっていたあみっけか、と。
それでも前に進まなくちゃいけないから。離れていてもこころは一緒。そうみんなに教わったから。いままで先輩たちが先頭に立って引っ張ってきた「オールスターズ」の構図がここで逆転し、今度は新人・スイートのふたりが泣いているみんなに発破を掛けて再び立ち上がるわけです。もう色んな感情がない交ぜになって涙腺崩壊。
作画も前半戦が嘘のような美しさ。特に劇場版キャラデザのラブと奏、響がぶっちゃけありえない可愛さ(えりかは常に可愛い)です。スイプリ組はテレビシリーズが結構のっぺりとした作画なのでずっとこっちで行ってほしいくらい。
強いていうなら、放送中の作品があるからこの結末は仕方がないとはいえ、妖精たちの登場シーンはこころの大樹のところまでにしておけばより余韻が深まったのではと考えなくもないのですが、そこらへんはまあメインターゲットに理解しやすくということで仕方なし。
劇場版10作目の記念作品、完結編として申し分のない出来栄えでした。
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