2011.08/29 [Mon]
ドラマ総評:『仮面ライダーオーズ/OOO』
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★★★★☆
あっちこっち行ったけど、楽して助かる命がないのはどこも一緒だな
3つのメダルで変身し、正義のために戦う仮面ライダーオーズ。800年の眠りから覚め、復活した怪人グリード。自らの身体の力の源となるメダルが足りないことに気づき、そのメダルを探し求めている。そして、彼らは人間の欲望をエサにして成長し、体内にメダルを増やしていく。怪人の狙いは、全てのメダルを集め完全復活を果たし、“王”となること。そんな怪人たちの野望を打ち砕くため、仮面ライダーオーズがメダルを駆使し、多彩なフォームチェンジで立ち向かう!! 全48話。
「平成仮面ライダー」第12作。
「タ・ト・バ! タトバ♪ タトバ♪」の変身ソングとその後に続く「歌は気にするな!」のセリフで全視聴者の度肝を抜いた『仮面ライダーOOO』もとうとう最終回を迎えました。
過去に少女の命を救えなかったことですべての欲を失った青年・火野映司、欲望の塊であるグリードのアンク、アンクに兄の身体を奪われた比奈の3人が三者三様に役割を担い、その関係性の変化を1年間掛けてじっくりと見せていったのが良かった。一緒にいる時間が積み重なっていつの間にか相手を大切に感じるようになっていたという、理屈では割り切れないこころ。『オーズ』の物語の根底はそこにあって、いつの間にか手に入れていた居場所、いつの間にか叶っていた願い、それらすべてが他の誰でもないこの3人の巡り合いによって生まれてくる。
実はそれは、傍から見れば大したことではないのです。何でも自分ひとりで背負い込まずに、限界があるんだったら誰かに頼れば良いじゃないとか。他者と接することで初めて得られる感情だとか。むしろスタート地点だといって良い。けれど、それが――そんな単純で当然なことすらも出来なかった彼らが、グリードとの闘いを通して長い遠回りの末に、ようやくそのことに気付いていく。そんな物語なのです。
最初は利害の一致だけでバディを組んでいた映司とアンクが友情とはまた違う絶対的な信頼を寄せるようになって。最終的に対立するしかない、相容れなくなったふたりを比奈ちゃんが一緒にいたいという「欲望」で繋いで。基本フォームのタトバでもなく最終フォームのプトティラでもなく、自らの意思を司るタカメダルを最後の手段として映司に預け、タジャドルコンボで決める最終回のあの演出に燃えない人間がいようか。
バトルやアクションよりも感情の動きの方に比重が置かれた作品で、尚且つゲストを中心に話を回していくタイプの作風なので好き嫌いは解れるだろうけれど、1話1話の脚本の質も高く個人的には平成ライダーの中でも最上位クラス。
脇を固めるキャラクターたちも各々魅力的でした。皆の“お母さん”として背中を押してくれる知世子さん、包容力のある2号ライダー・伊達さん。登場時は先走ってDQNな性格だった後藤さんも伊達さんとコンビを組むことで精神的にも目覚ましく成長し、最終的には映司に手を差し伸べるところまでやってくる。
伊達さんと真木博士の会話も、或いはこのふたりも映司とアンクのような関係に成り得たかもしれないと感じさせるし、メズールの妖艶なキャラクターが感情を知ることのないグリードの“母性ごっこ”の表れだとか、ガメルがお菓子を好きなのはこれまた“美味しがっているごっこ”であり、アンクのアイス好き設定はまさにこの部分に掛かる伏線だったりとか練りに練られたシナリオには感心し通しです。
いやぁ、素晴らしいドラマを見せてくれました。スタッフ&キャストの皆様、お疲れ様です。そしてありがとうございました。
ちなみに私の一番好きな亜種の組み合わせはタカキリーターですね。タカはオーズの基本ヘッドだし、トンファーみたいなカマキリ腕のトリッキーさとしなやかなチーター脚が美しい。
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