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300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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小川一水『風の邦、星の渚(上) レーズスフェント興亡記』

風の邦、星の渚 上―レーズスフェント興亡記 (角川春樹事務所 ハルキ文庫)風の邦、星の渚 上―レーズスフェント興亡記 (角川春樹事務所 ハルキ文庫)
小川 一水

角川春樹事務所 2011-12-15
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★★★★☆
フェキンハウゼン男爵たる父から疎まれた若き騎士ルドガーは、ドイツ北辺の村へ代官として赴いた。反抗的な村民の統治に加え、村を襲う浮浪兵と闘うルドガーの前に現れた「泉の精」を名乗る美少女レーズ。彼女の助力により、浮浪兵を撃退したルドガーたちは、「レーズスフェント」という町を創設し、新たな街道を開いて発展への一歩を踏み出していく。だがレーズの正体は遙か過去に地球に飛来した宇宙生命体だった。十四世紀の神聖ローマ帝国辺境で、人知れず果たされたファーストコンタクトから始まった運命の変遷を描く長篇歴史SF。


「風の邦、星の渚」上巻。
 ブクログに登録したときもそうでしたが、何故か表紙画像が出ませんね。(上)(下)の表記が封蝋っぽくデザインされていてお洒落なのに。
 歴史SFと銘打たれてはいるものの、地球外知的生命体であるレーズが14世紀の世界では魔女や魔物呼ばわりされ、超常の力を駆使する存在として描かれているため、ファンタジー小説といっても差支えのない――というか、むしろファンタジーそのものな内容となっています。微小な生命体が人間に寄生し、意識と身体を乗っ取ったり、細胞を活性化させて瞬時に傷を治したり。まさに「進歩しすぎた科学は魔法と変わらない」状態。『時砂の王』同様、こういった細かい“それらしさ”が非常にツボです。

 環境最悪の僻地の寒村へと追放されたルドガーが盗賊を討伐して住民たちの信頼を勝ち得、何もないところから逆境を撥ね退けて段々と街を大きくしてい過程は読み応え抜群。さらには物語が進むにつれて、後に街を象徴するようになるキャラクターたちがひとりまたひとり仲間になって住民も増えてゆく。いわばパーティ増員の楽しさも味わえるわけで。
 小川一水お得意の歳月を掛けてひとつの事業を成し遂げる作風も健在です。ここまでてんこ盛りな小説がつまらないわけがない。
 登場人物たちも愛着の持てるキャラばかりで、個人的には純情少女アイエが可愛らしくて好きでした。ハルキ文庫はわりかしマイナーレーベルなので置いてある店も限られてくるとは思いますが、これはもっと大々的に売り出して良い作品。即買い推奨です。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

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