2009.06/02 [Tue]
有沢まみず『神のみぞ知るセカイ 神と悪魔と天使』
![]() | 神のみぞ知るセカイ―神と悪魔と天使 (ガガガ文庫 あ 4-1) 有沢 まみず 若木 民喜 小学館 2009-05-20 売り上げランキング : 153540 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★☆☆☆
ボクは王子様だからね。とらわれのお姫様を助けに来た
「ボクは助けられたのか、あの、天使みたいな女の子に――」落とし神・桂馬が出会ったのは、桂馬が苦手とする属性をもつ不思議な女の子。その少女を攻略することになり、苦戦を強いられる桂馬の前に、もう一人の「駆け魂」の持ち主も現れて…?ギャルゲーの天才、「落とし神」と呼ばれる少年・桂馬と、地獄から派遣された可愛い悪魔・エルシィが現実の女の子を攻略する『神のみぞ知るセカイ』。「週刊少年サンデー」の人気連載コミックをラブコメのスペシャリスト、有沢まみずがオリジナルストーリーでノベライズ。
マンガ「神のみぞ知るセカイ」のノベライズ。
原作既読。単行本も所持。
マンガを読む上で、絵の好みというのは取捨択一の大きなファクターなんだけど、個人的にはそれ以上に作者と自分の感性がどれだけマッチしているかというところが重要だと思っています。この「神のみぞ知るセカイ」は連載当初からサンデーで読んでいたけれど、まぁ読んでいたという程度のものでした。けど、ある号のサンデーで単行本発売記念のイメージ・コミックというのが本編の後に載っていたんですね。そのイメージ・コミックの“表現”がすごく綺麗で心打たれて、買うことを決めました(
そんな「神のみぞ~」のノベライズが出るというのだから、これは買わなくてはと思ったわけです。
で、、、
――これがライトノベルのちから、か。
と、いうのが正直な感想。
まず、本を開いて感じたのが“白い”、そして“薄い”。ストーリー背景や情景描写が圧倒的に欠けていると思うんですよね。そりゃあノベライズの読者は大抵の場合、原作既読済みなんだろうからそこまで深い説明は必要ないのかもしれません。でも、“駆け魂”の正体は何なのか、なぜ桂馬とエルシィがバディを組んでいるのか、そういったところは最低でも説明しとくべきでしょう。作品の根幹なんだから。
情景描写もそうで、冒頭で桂馬がゲームをしているシーン、読者としては確かにゲームをやっているんだなということはわかります。桂馬がそういう人間だとわかっているから。けれど、地の文で「制作した会社が云々」とかいう前に、まずはっきりとリアルでゲームをしている描写を入れろ、と。阿修羅がどうのとかは比喩だから全然OKです。だけどそのまま文が進んで、いつの間にかゲームをしていることを知っていて当然みたいに振舞うのは間違いなんじゃ?
第1章で桂馬がゲーム店を訪れた際も、ひとりでゲームを選んでいたかと思いきや、最後の最後で唐突にエルシィが今まで一緒にいたみたいな出方をしてくるんです。まるで、何もなかったところに急に人がテレポートで現れたみたいな。「ええぇー」て感じですよ。今までそんな描写なかったじゃん、て。
火事のシーンも(ry
そんなこんなで、ストーリーやキャラ同士の絡みが面白くても、いまいち楽しめない結果に終わってしまい残念でした。
てか、今まで気づかなかったけど桂馬のやってることって結構ミステリちっくなのね。ロジックで敵(女の子)の出方と行動を推理して、それを詰めて“落とす”。ジャンル的には圧倒的な強さを誇る相手から、どうやったら勝てるかを推理する西尾維新の『刀語』的な攻略系ミステリ。
今回のノベライズ、傍点の使い方とか絶対ミステリを意識してたと思うんですけど、どうでしょう?
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