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300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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望月守宮『無貌伝 ~夢境ホテルの午睡~』

無貌伝 ~夢境ホテルの午睡~ (講談社ノベルス)無貌伝 ~夢境ホテルの午睡~ (講談社ノベルス)
望月 守宮

講談社 2009-10-07
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★★★☆☆
このホテルには明海ってヒトデナシが憑いていて、
一年のうち八月最後の日曜日だけ、ホテルの見る夢の世界に行くことができるのよ。それが夢の一週間。

怪盗・無貌……それは世界が畏怖する生ける怪異。探偵・秋津とその助手・望は、宿敵無貌逮捕の報を受け、夏原ホテル―別名「夢境ホテル」へと向かった。そこには、殺人鬼探偵をはじめ、一癖も二癖もありそうな宿泊客ばかりが……。やがて、ホテルの一室で刺殺死体が発見される! 探偵たちを嘲笑うかのように繰り返される殺人。「夢境」の彼方に隠された事件の真実を、望は追う。


「無貌伝」第2作。
 夏原ホテルに憑いたヒトデナシが1年に1度だけ見せる“夢の一週間”。秋津の正式な助手として長靴友の会に認めてもらうための最終試験として“夢の一週間”内での揉め事処理係・ホテル探偵を仰せつかった望がこの異空間の中に転がった死体の謎に挑む、というのが本作の内容です。
 まず大きな特徴として挙げられのがグランドホテル方式の導入です。望をはじめとしたホテル探偵チーム、三探偵のひとり殺人鬼探偵・近松独善&茜の呉越同舟コンビ、詐欺師、殺し屋と彼を脅迫する謎の“蒐集者”、手術ミスを挽回しようとする医者チーム――それぞれの視点が目まぐるしく入れ替わり、複数の物語が同時に進行していきます。

 が、これが曲者でして。視点を移動させることで物語の本筋を見え難くしているという意図があまりにもあからさまなため、読んでいてかなりストレスが溜まります。断片的な情報しか与えないことで簡単な一枚絵をわざと難しく見せようとしていることが丸わかりなのです。いくらなんでも決定的事項を都合良く隠しすぎというか、常に全体像をぼやけさせた霧が掛かったような状態を読者に強いるのはどうかと思います。バラバラだった線が最後の最後でひとつに集約される、という効果を狙ったのは理解できるのですが、本書で行われているのはいわば予告済みの後出しじゃんけんみたいなもの。そんなことで「すごいでしょ?」と言われても……という感じです。

 前作もそうでしたが、望月さんは魅力ある舞台と設定、物語を描くのは上手いのにミステリとしての書き方が巧くない。
 本作の場合、本題である謎解きにおいては特殊空間を利用したミステリとしては事件の真相も面白く、伏線もそれなりで申し分のない出来ではあるのです。しかしながら、捜査を始める段階でのまず何をどう推理すべきなのか、という問題提示が曖昧なので解決編の切れ味が格段に鈍くなってしまっている。本当ならもっと驚いても良いハズなのに解くべき“課題”がはっきり掲げられていないものだから、いざ種明かしとなったときにふうん、以上の感想が生まれてこないのです。ストーリー部分が面白いだけに、これは非常に勿体ない。
 ここらへんの見せ方が変わってくるとミステリ作家として化けると思うのですが……。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

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