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ドラマ総評:『マジすか学園2』

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★★★★☆
4月。マジ女をおさめていた旧“ラッパッパ”のメンバーたちは卒業し、前田敦子たちは3年になっていた。“ラッパッパ”の部長としてマジ女をまとめていた大島優子からマジ女を託された前田は、ある選択をする……。そんな中、校内に所狭しと、ヤンキーたちがたむろするマジ女のいつもの風景の中を、“ラッパッパ”の部室を目指して突き進む者の姿が……。全12話。


「マジすか学園」第2作。
 いまさらながらに総評を。『2』に比べたら前作なんてそれこそ学芸会レベルの児戯に等しい――とさえ思っているのですが評判悪いですね、今作。前作は構図としては単純明快でラッパッパからの刺客が前田を襲撃→ピンチ!→マジだよ!!→返り討ち のパターンが出来上がっていましたが、今回は第1話から波乱の展開。越える者から越えられる者へと立場は変わり、2年生のセンターが新生ラッパッパに下剋上を仕掛けてきます。さらには大島に認められラッパッパを引き継いだと思われていた前田が実は副部長に甘んじていて部長に就任していたのは謎の転入生おたべだったという衝撃的事実から物語は幕を開ける。
 ハードスケジュールで出られない前田(リアルの方)をなんとか誤魔化すための措置とはいえ、それが功を奏して前作のような前田無双の物語から多人数主役の群像劇へと作風が変化。新生ラッパッパ組、ネズミ&センターの下剋上コンビ、出戻りの裏切り者シブヤ率いる矢場久根勢の三つ巴抗争によって物語がどう転がるのかわからない状態が続きます。

 人を人とも思わないネズミが馬鹿みたいに真っ直ぐなセンターに絆されてゆく様は実質本作のメインストーリーであり、こういったところからも世代交代の趣が感じられます。親友を罠に嵌め、すべての人間を駒として扱うネズミの極悪非道さはそれこそ「やばくね?」と言いたくなる域。ここまで倫理的に堕ちているキャラクターもそうそういません。
 裏で策を弄するネズミの暗躍に唯一気付いているのがラッパッパ部長のおたべです。暴力を用いるのを良しとせず、京ことばでやんわりと釘を刺すおたべの存在感は圧倒的で物語を引っ張るリーダーとしての役割も充分果たせていました。
 他にも旧四天王からの留年生・ゲキカラと新生四天王の友情、元生徒会長でひとりだけ場違いな存在だった尺と矢場久根のトップから蹴落とされるハメになったジャンケンとの奇妙な友情関係、ぞんざいに扱われても献身的にシブヤを支えるダンスなど記号的に過ぎなかった前作とは異なり、多くのキャラの内面にスポットが当たっているのがドラマを面白くしています。

 逆に存在意義がわからなかったのがチーズフォンデュ、たかみな警部補、大島の三つ子ちゃんです。後者ふたつはまあ人気メンバーを出したいがための悪ノリなのでともかくとして。チーズフォンデュの演技は作品の性質を理解している上で見ていても許容できない酷さでした。棒読みとかそんなものではなく、破壊的なまでの演技の下手さ。これは相当キていましたね……。
 苦悩し焦燥する前田もギリギリでいらない子にはなっていなかったものの、それだけに出番の少なさがバランスを悪くしていた感がなくもないです。ただ、前田の登場が抑えられたからこういった群像劇カラーに仕上がったことを考えると、そこらへんの不備は甘めに受け入れてあげたいところです。

 ただし最終回はそれこそノリで終わらせてしまった雰囲気があり、シブヤの唐突な変心も「えー」という心境だし、あのままで矢場久根の生徒たちに収まりがつくのかという問題もあります。卒業生の参戦も現役世代が不甲斐ないように見えるのでやってほしくはなかった。矢場久根総長の再登場は嬉しかったですけど。
 あれだけ煽っておいて捨照護路が空気と化してフェードアウトすること、前田の見つけた“答え”を視聴者側にきちんと示してみせなかったことも脚本家の逃げが入っているとは思います。
 しかしながら、各登場人物はそれまでの段階でそれぞれに結末を見出しているため、そこまで投げているようには見えませんでした。最終話の大乱闘なんて所詮は各キャラの“結論”をケンカの様子に乗せて手際よく見せるためだけの舞台装置に過ぎないのです。
 そこに至るまでの過程は11話までで綿密に描かれていたので、群像劇好きとしては結構満足な内容だったのでした。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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