2011.07/08 [Fri]
全民煕『ルーンの子供たち 冬の剣(5)』
![]() | ルーンの子供たち 冬の剣 5 (Next novels) ジョン・ミンヒ ゆーげん 宙出版 2011-06-20 売り上げランキング : 175509 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★★☆
その剣があなたを望まない方向へ導こうとするのなら、力一杯反撃を加えなければ。
言うことを聞かなければ踏みつけてでも言うことを聞くようにするのよ
剣技を競うシルバースカル大会の出場を決意したボリスは、その出発を前に、異世界へ足を踏み入れてしまう。ボリスの眼前で繰り返されるのは、伝説の剣を持つ者たちが辿った、悲しい記憶…。剣を持つことが、己の破滅を導くことだと知ったボリスは――。伝説の剣に導かれし滅びと再生の神聖ファンタジー、第5弾。
「ルーンの子供たち 冬の剣」第5作。
今巻ではボリスがシルバー・スカル大会のため再び大陸へ。しかも、よりにもよって開催地は因縁のアノマラード。地方が異なるとはいえ、ベルノア伯爵の居城があるあの土地です。で、剣の使い手が集まる大会は貴族たち最大の関心ごとのひとつであり、となるとベルノア伯爵家も例外ではなく……。
やっちまったなぁ!というか、これまでボリスが追っ手を巻けていたのは外界から隔離された“月の島”にいたからで、大陸に戻った時点で相応の危険があることは覚悟しておかなくてはなりません。それでもイソレットやナウプリオン、ひいては自分のために最も目立つ場所、晴れの舞台に上がることを躊躇わない。
冷静に考えると愚かしい行為ではありますが、誰からも怯えることない本当の人生を勝ち取る過程として、正面から敵と対峙することはどうしても果たさなくてはならない命題でもあります。いつまでも逃げてはいられないのです。
私的にはロズニスの再登場が嬉しかったです。思慮を覚え、大人になったロズニスとボリスのやりとりは、昔と同様に淡泊ではあるけれど、それでもここで会えたことは大きい。たとえ半年でも兄妹だったのだもの。本人は特別意識していなくともやはり他人には抱かない特別な感情、絆があると思う。
イソレットとの小旅行、懐かしい知り合いとの再会、非情なる決断の強要、刺客との熾烈な闘いを経て物語はいよいよ最終章へ。残すところはあと2冊。ウインタラーの来歴が明かされ、不穏な布石も打たれて次巻へ続く、です。
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