2011.06/22 [Wed]
西尾維新『偽物語(下)』
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★★★☆☆
火憐ちゃんの中には正義があるけど、私の中にはそれがない。
私の信じる正義は――火憐ちゃんの正義であり、そしてお兄ちゃんの正義なんだよねえ
“ファイヤーシスターズ”の参謀担当、阿良々木月火。暦の下の妹である彼女がその身に取り込んだ、吸血鬼をも凌駕する聖域の怪異とは!? 今、“物語”を根底から覆える――これぞ現代の怪異! 怪異! 怪異! 青春は、にせものだけでは終らない。
「化物語」第3作の下巻。
下の妹・阿良々木月火にスポットを当てた「つきひフェニックス」を所収。詳しいことをいってしまうとネタバレになってしまうので避けますが『仮面ライダーカブト』的なお話です。
上巻よりはまだ持ち直したとはいえ、それでもやはりギャグが冗長で内容が薄い。今巻の物語は中核だけ取り出してみればなかなか良い話なのに、ギャグパートと本編パートのバランスの悪さがすべてを台無しにしてしまっています。月火の抱える事情に関する伏線がかなりバレバレな形で張られているのもマイナス要因。今回の2冊はもっとシーンの取捨選択をして、それこそ『化物語』のような複数話1冊の合本形式でタイトにまとめちゃった方がすっきりとした。長ければ良いってものでもない。
かつてこれほどまでに自身のアニメ化について語った原作小説があっただろうか、というくらいのメタ会話もやりすぎです。思えば本作に投げ込みチラシがアニメ版メインヴィジュアル&CVの公式解禁だったので、西尾維新としては舞い上がっちゃってサービスサービスゥ~♪的な感じで書いちゃたのでしょうね。
結果としては八九寺が言うようなアニメ化してつまらなくなった原作がだらだら続いてしまう最悪のパターンに陥ってしまったわけですが。皮肉すぎて全然笑えません。
まあアニメから入ってきたキャラ読み層の多くは満足しているようだし、事実として忍の魅力が天元突破しているから一概にはいえないかもしれないけれども、今回のこの『偽物語』は失敗作だと思います。
あと擬似エロシーンはいらない。そういうものは二次創作に任せておけば良いことで、エロゲーじゃあるまいし仮にもキャラ萌えの作品――二次元という名のイデア(謎発言)に著者自らそういった生々しい感情を持ち込んでほしくはないです。汚された気分。
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