2011.06/18 [Sat]
西尾維新『偽物語(上)』
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★★☆☆☆
今回は僕の格好良いところを見せてやる。
惚れないように気を付けるんだな。近親相姦になっちまうぞ
阿良々木暦の青春は、常に怪異と共にある!? 今度は暦の二人の妹<ファイヤーシスターズ>が大暴れ。“ファイヤーシスターズ”の実戦担当、阿良々木火憐。暦の妹である彼女が対峙する、「化物」ならぬ「偽物」とは!? これぞ現代の怪異! 怪異! 怪異! 青春は、ほんものになるための戦いだ。
「化物語」第3作。
丸ごと1冊、阿良々木くんの妹をクローズアップした「かれんビー」を所収した『偽物語』上巻。
――あれ? 内容が……ないよう(お決まりの駄洒落で
いくらなんでもこれはダメでしょう。ギャグパートがうんざりするほど長い上に、お話としては大したことをしていない。というか何もしていないに等しいです。
「なでこスネイク」事件の大元となった呪いを広めた張本人であり、かつて戦場ヶ原ひたぎを一番はじめに騙した男でもある詐欺師・貝木泥舟の居場所を割り出した阿良々木火憐は、正義の味方“ファイヤーシスターズ”として闘いを挑むも、逆に怪異に憑りつかされてしまう。この怪異を祓うために阿良々木くんが活躍するのならまだ良かったものを、あろうことか怪異による発熱は何もせずとも回復。敵である貝木との対峙も、別段何をするわけでもなくちょっと語らって「出ていけ」→「うん」で終わってしまう拍子抜けな展開。ましてや最大の山場が病み上がりの妹とのマジ喧嘩ってどんだけしょうもないの。
こんなものを300ページ超も使ってやる必要はまったくないし、出版なんてしちゃいけないだろう。『化物語』の何が良いのかって、おふざけに満ちた会話劇で全力で笑わせてくる一方で、実はキャラクターたちが皆それぞれ決して軽くない悩みを抱えていて、それが事件の根幹を成しているところでしょうに。解決にあたっては心の奥底を抉るようにしてその本音を吐露させ、最終的に救われ、一歩を踏み出すわけです。その物語性にさらにミステリ的なギミックが効いてくるから面白い。
期待が大きいからこそ言いたいのだけど、こんな伏線も葛藤も心痛もないような薄っぺらい(そのくせ分量だけ無駄に分厚い)小説で終わって良いわけがないのです。
キャラクターに関しては前作を経たことでついに忍が解禁。シリーズ最低作ともいうべき本作の数少ない収穫でした。これはもうひたぎ派だとか言っていられません。忍一択。これしかない! ありえないキュートさ。ベ、別にロリコンとかじゃないんだからねっ!!
王子様みたいな阿良々木くんが意外と妹たちには厳しい態度で接しているところも細かい。
しかしこの巻を読んでふと思ったのですが『シスプリ』を知らないハルヒ世代(勝手に命名)が台頭して久しいいま現在、『双恋』や『HAPPY★LESSON』、ぐぐっと遡って『CAT'S EYE』や『まいっちんぐマチコ先生』ネタなんて読者層的にちょっとどうなのかしら。勿論、私は白鐘姉妹(特に双樹!)推しで、うづきがママに決まってますけどね。
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