積読本は積読け!!

300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

Entries

西尾維新『傷物語』

傷物語 (講談社BOX)傷物語 (講談社BOX)
西尾 維新 VOFAN

講談社 2008-05-08
売り上げランキング : 518

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

★★★★☆
阿良々木くんひとりを助けるためだったら、身体なんて、ひとつあったら十分だよ
彼女がいなければ、“化物”を知ることはなかった。全ての始まりは終業式の夜。美しき吸血鬼キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードの出逢いから――。高校生・阿良々木暦は、ある日、血が凍るほど美しい金髪の吸血鬼と出遭ってしまった……!?


「化物語」第2作。
 前作『化物語』の前日譚にあたる第零話「こよみヴァンプ」を所収。結局明かされず終いだった阿良々木くんの“地獄のような春休み”。阿良々木くんが吸血鬼くずれになった訳、忍の来歴が明かされます。
 「戯言シリーズ」の例を挙げるまでもなく、西尾維新という作家は思わせぶりな設定、頭の中に出来上がっている世界観をすべて小説内で描いてみせようとはしない人で、それ故にどうしても中途半端に感じてしまう。本作も『化物語』を上梓した時点ではまったく語ろうとは思っていなかった物語でしょう。それがアニメ化が決定したので続きを書いちゃう?的なノリでこうして活字になるのだから、良し悪しです。そうして出来上がったシャフト×新房×西尾維新のアニメ『化物語』は大ヒットを飛ばし、西尾維新の知名度も爆発的に上昇することになるのですが、それはまた別のお話。

 「こよみヴァンプ」のタイトルだけあって阿良々木くんのキャラクターがよく出ている1冊でした。相変わらずのヒーローっぷりには惚れ、こんなに変態だったのかと多少引いたりして。いままで進行役に徹していた阿良々木暦を正真正銘の主役に取り上げたことで、その人となりがよりわかる。
 ただ、本作は羽川がメインヒロインの正統派ボーイ・ミーツ・ガールになっているにも関わらず、この出来事の後でひたぎを選んでしまう阿良々木くんは相当残酷です。リアル。

 シリーズの目玉となっている掛け合いはボケ要員がいないため大人しめ。あまりやられても無駄に冗長になるだけだし、キャラのやりとりよりも物語そのものを読みたい派なので個人的にはこのくらいが良い。キスショットは魅力的ですけどね。年寄り風な言葉遣いの女子には萌える。
 ミステリ的なことでいえば本編中に大きなひっくり返しが2回仕掛けられており、1度目はむしろ気付かない方がおかしいくらいですが、2つ目は構図の逆転と共に隠されていた真意が明らかにされ、その優しい想いがハッピーエンドでありバッドエンドでもある静かで儚い結末を引き立てる。

 『化物語』のエピソ-ド0でありながら独立した物語としてもしっかり成立していて、本作だけを読んでも大丈夫。前作『化物語』は確かに傑作だけど、もし西尾維新を知らない人に薦めるのならこちらでしょう。エロ要素がラッキースケベ程度に収まらず肉欲的にすぎるところが気にならなくもないですが……。


スポンサーサイト

Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

ご案内

プロフィール

はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

当ブログはリンクフリーです。
お気軽にどうぞ。

カレンダー

07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

ただいまの積読本

現在:456冊                        目指すは未踏の500冊! 最新の15冊を表示。                 冊数をクリックするとすべての積読本を見られます。

ブログ内検索

作家別作品アーカイブ

過去の読書記録はこちらから。 作家名が五十音順に、それぞれシリーズごとに見られます。

評価について

★☆☆☆☆ 破り捨てたい衝動に ★★☆☆☆ うーん。これはびみょ(ry       ★★★☆☆ 普通に面白いです ★★★★☆ 一読の価値アリ ★★★★★ 殿堂入り                ★×4以上は自信を持ってオススメ  ★×5はとりあえず読んでほしい傑作

2014年のベスト5

2014年に読んだ小説の       (暫定)ベスト5はこれ!!

2012年のベスト5

2012年に読んだ小説の        ベスト5はこれ!!

2011年のベスト5

2011年に読んだ小説の          ベスト5はこれ!!

1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

最近の記事

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

アソシエイト

アクセス解析