2011.06/06 [Mon]
ツカサ『RIGHT×LIGHT 2 ~ちいさな占い師と白い部屋で眠る彼女~』
![]() | RIGHT×LIGHT 2 ちいさな占い師と白い部屋で眠る彼女 (ガガガ文庫 つ2-2) ツカサ 近衛 乙嗣 小学館 2008-03-19 売り上げランキング : 501666 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★☆☆
今、私はすごく楽しい。信じれないくらい幸せな日々を、送ってる。
でもそれは……私が暴力で手に入れた、もの。だからきっと、私はまだ《魔女》のまま
突如、空から舞い降り、街中で魔法を派手に行使したあげく、性懲りもなく僕のカラダに居候し始めた金髪碧眼の半透明少女。「右手の呪い」が巡り合わせたわがままアリッサとの奇妙な共同生活にもなんとか慣れてきた今日この頃。昼は学校、放課後は奪われたアリッサの肉体探し……多忙な日々に追われ、僕はすっかり「彼女」のことを忘れかけていた。なぞの転校生、朝ノ宮陽名の占いに導かれ、僕は友月未由と一緒に、久々に「彼女」との再会を果たす。「彼女」は白い部屋のベッドで、見るも無残にやつれ果て、昏々と眠り続けていた――。
「RIGHT×LIGHT」第2作。
前作の終わり方を受けての正統な後日談。完全決着の後始末編です。
もともと1冊ものとして作られていた作品(そもそもが応募原稿なのだし)で2巻目を出すとなると、丸々新規のストーリーにしちゃって新章突入というのが普通だと思います。新しいキャラクターも導入して、話もどんどん進めたい。しかし本作の場合は一度立ち止まり、これから先を続けるのであれば処理しておかなくてはいけない事項、ケリをつけるべきことをしっかりと描いてくれます。そのため今巻はどうしても前巻ありきの補完編的な内容になってしまい、独立した物語としてはどうしても小粒な印象を受けます。でも、それで良いのです。舞台を整えるために“勝負の2巻目”を敢えて後処理に使う心意気、嫌いじゃないですよ。
今回このステップを踏んだことで、たとえば啓介だったり友月だったりの変わったところとすぐには変われない部分、抱えている傷の深さ、そして乗り越える勇気と決意の表明がきちんと読者に示されています。ここまでしっかりと描き込まれていたらキャラクターも本望でしょう。
エピローグを見る限りではライトノベルやアニメ、漫画、ゲームにありがちなハーレム展開に見えなくもないのに、登場人物の行動心理がちゃんとわかっているから全然不自然な感じはしない。
この作品が巷でどのくらいの知名度にあるのかはわからないけど(ブクログでは2巻のレビューを書いているのが私だけでした)もっと読まれて然るべきシリーズであることは間違いないです。
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