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伏見つかさ『俺の妹がこんなに可愛いわけがない(8)』

俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈8〉 (電撃文庫)俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈8〉 (電撃文庫)
伏見 つかさ かんざき ひろ

アスキーメディアワークス 2011-05-10
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★★★★☆
兄貴がどんなにどうしようもないやつでも、みんなが見捨てても、あたしはここにいてあげるから。
ちゃんと最後まで心配して、叱ってあげるから。――だから、元気出せ、兄貴

「私と付き合ってください」新たな局面を迎えた恋愛模様。そして――「きょうちゃん。――おこるよ?」「貴様等、そこに並んで正座しろ!」「恋人ができたそうですね、お兄さん」俺の全方位土下座外交が幕を開けた。幼馴染みに三年ぶりのマジギレ予告をされたり、あやせに火あぶりにされかけたり――「五更日向です。――こっちは末っ子の珠輝」 新たな登場人物も加わって高校生活最後の夏休みは毎日が大騒動だ。そんなある日、黒猫が『運命の記述』と題された予言書を見せてきて……? 予言書に秘められた少女の“願い”とは!? 兄妹の関係にも一大転機が訪れる。


「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」第8作。
海にプールお祭り行って 浴衣着て花火して~♪ (アイドリング!!!「ドキドキが止まらない♡」より)

――と、まあ一部虚偽が混じっていますがそんな感じの真夏の恋愛編、下巻。
 黒猫の告白に一晩悩みはすれど、普通に受けて大きな悶着もなく京介と黒猫は恋人同士に。夏の想い出づくりに勤しむカップルはデートをしたり、手を繋いだり。一日一日、大切な日々を重ねて互いの気持ちを確かにしていく。
 生まれ変わった黒猫さんの神猫モード決めポーズにはクソ笑った。何この娘、楽しそうすぎるw
 でもやっぱりひと夏の恋には終わりのときが待っていて。夏物語好きな自分の意見としては、ひと夏の恋は終わりがあるから魅せられるところがある。夏うただって大抵の曲は夏休みの最後に別れが待っています。夏の終わりがやがて来る恋の終わりを告げるようでどこかうら淋しい。それが定石。そして、本作もまたその例に漏れず……。

 いままでも何度か節目はあったけれど、今巻は『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』という作品の集大成であり、ひとつの到達点だと思います。1巻で描かれた桐乃と京介の立場を丸まんま逆転させ、再現し直す。桐乃がどん底にいる京介を励まし、慰め、その心で包み込んでやる。京介が困っていたら自分が助ける。そこにはもはや冷戦状態だった頃の面影なんてまるでなく、描かれているのは兄を想う妹の姿と妹を想う兄の姿です。ふたりの関係は完全に決着したといって良い。
 一方で著者自身が恋愛編と言うだけのことはあって黒猫・あやせ・麻奈実と京介に想いを寄せる女性陣が一斉にカミングアウト。桐乃の妹としての感情の吐露も加わり、京介争奪戦の参加者全員がいよいよ同列のスタートラインに立ったと言えそうです。

 そう、ここで試みられているのは関係性のリセットなのです。黒猫の告白から始まる京介とのひと夏の恋はいわばそのための通過儀礼。桐乃は、兄貴が親友に取られるのは嫌なのにどちらも大切だからその意思を尊重しようと自分の本心を押し殺す。黒猫は黒猫で京介が好きだけど親友を苦しめてまでその心を突き通したいとは思わない。黒猫の場合は桐乃と出逢うまでは本格的に友達がいなかったので余計に、です。
 じゃあどうすれば良いの?と考えた結果がこの巻の内容になるわけで。つまるところ、すべての感情を嘘偽りなく晒した上で改めて京介に選んで貰いましょう、ということなんですね。そこに麻奈美(とあやせ)も乗っかった。
 一見簡単そうに感じるものの実際には手段としては荒療治も良いところで、関わり合う人たちがよほどできた人間でないとこの“策”は崩壊します。完全に泥沼化する。結果的にはそれが成功したのだから京介も大概、人(それも女の子)に恵まれているよなぁ。

 しかしここで完結しないとなると、色々な箍が外れていっきに恋愛自由化展開だろうか? それぞれ気持ちを押し込める必要がなくなったことでハーレム展開に突入してしまいそうな悪寒がしなくもないのですが、それだけはなんとか回避してほしい。
 んー これでシリーズを終わらせておくのも充分にアリだった気がする。勿論、続刊は楽しみにしていますが。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

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