2011.05/29 [Sun]
尾田栄一郎/内田樹『ONE PIECE STRONG WORDS(下)』
![]() | ONE PIECE STRONG WORDS 下巻 (集英社新書<ヴィジュアル版>) 尾田 栄一郎 内田 樹 集英社 2011-04-15 売り上げランキング : 114066 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★★☆
名場面とともに贈る珠玉の名セリフ集! 超人気漫画『ONE PIECE』の名セリフ集。第一部(1話~597話)の中の珠玉の言葉を、下巻では「愛」「絆」「悪」「生きる」「餞別」のテーマ別に分類、場面カットをふんだんに配して紹介。解説は内田樹。
下巻。わざわざ言うまでもないことですが、評価はあくまでも漫画を楽しく読んでいること前提の話で、まったく『ONE PIECE』を読んだことのない人がわざわざ手に取るほどの本ではありません。
本書に収録されているセリフの中にもこれは名言だろうかというものがいくつもあるのですが、やってくれました編集部。ビビとの別れ、無言で仲間の印を掲げるシーン。無言という名の名ゼリフ。背景をわざわざ黒くするなど、その本気度が伝わってきます。
ビビはあそこで船を降りたけれど、立派に麦わらの一味の一員だと思う。単行本の登場人物紹介の欄に名誉クルーとして載せても良いくらい。尾田栄一郎が○人目の称号(?)をあげなかったのはいまでも納得いきません。だってほら、『スタートレック ヴォイジャー』だってニーリックスがデルタ宇宙域に残ったときに、名誉クルーとして宇宙艦隊の大使の役目を引き受けたじゃないですか。そういうカタチの船員がいても良い。
そして私の最も好きなセリフであるブルックの「死んでごめんじゃないでしょうに」が収録されているも嬉しかった。ブルックは海賊気質な考えの持ち主なのでセリフのひとつひとつがいちいち琴線に触れます。
下巻の解説はルフィの他者に依存するリーダー像と麦わらの一味の役割論についてで、普通人であるウソップが一味に加入しているのはずばり“語り部”であるからという考察はなるほど面白い。
作品によりけりですが個人的には“物語であること”にある程度自覚的な作品は大好きです。「マクロス」シリーズが劇中劇の設定であるとか、「スター・ウォーズ」のR2-D2が新三部作の時代から百数十年の間に見てきた一連の出来事がホイルス銀河史に記録され、SWユニバースにおける実質上の語り部となるとか。
『ONE PIECE』がポーネグリフや空白の100年といったことからもわかるような壮大な叙事詩を描こうとしているのなら、なおのこと語り部は不可欠。語られてこそ歴史。それを指摘してみせた解説はお見事という他ありませんでした。
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