2009.05/19 [Tue]
初野晴『トワイライト・ミュージアム』
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★★★☆☆
三人で生きて帰ります。必ず
天涯孤独な少年・勇介は、急逝した大伯父・如月教授が遺してくれた博物館で秘密裏に行われているあるプロジェクトの存在を知る。それは―脳死患者と時間旅行を研究する極秘実験。過去を彷徨う魂を救うため、勇介は学芸員・枇杷とともに、過酷な時の旅へと出発する!
タムトラベル・ミステリと銘打っているものの、ほとんどSF小説。いや、図表が出てきたりとかミステリちっくなつくりになっているんだけど、やっぱりこれはSFでしょ。
(以下、ネタバレ)
一番のネックはミステリ部分が数学的すぎて理解するのに時間が掛かるという点。一般人にはまず不可能な芸当(推理も、実践も、そしてたぶん一読での把握も)で、これを“努力”の一言で片付けたのがすごい。
さらにいえば、“光の舟”のトリックのイメージが上手く思い浮かばなくて、ここにこそ図が欲しかったかな、と。すみません、頭悪くて。
しかし“これ”――特に“真偽の数珠”と“救済の夜目”をふつうのSF小説でやったら「何だこれ」みたいな反応になってしまうのは間違いなくて。そうなるとやっぱりミステリに免疫のある人たちが読むレーベルで出さなといけない。でもミステリではない、というなんとも中途半端な立ち位置になってしまったような気がします。
そんな感じで、ミステリとして読もうとすると色々と考えてしまうけど、物語自体は面白かったです。精神だけタイムスリップをした少年と女性が、同じく精神が過去の世界に迷い込んだ女の子を見つけ出して助ける、という冒険劇っぽさが。
ただラストがあっさりで残念。もう少し余韻を……。
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