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300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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ツカサ『RIGHT×LIGHT ~空っぽの手品師と半透明な飛行少女~』

RIGHT×LIGHT―空っぽの手品師と半透明な飛行少女 (ガガガ文庫 つ 2-1)RIGHT×LIGHT―空っぽの手品師と半透明な飛行少女 (ガガガ文庫 つ 2-1)
ツカサ 近衛 乙嗣

小学館 2007-10-18
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★★★★☆
――私、そんなに強くない。卑怯に、なれないよ。
遠見くんを、心の中に入れないようにしたくても……一緒にいたら無理

右手でモノを握ると跡形もなく消える――だから、空っぽの手品師。そんなふうにクラスでは三文手品師のフリをする、それが僕の平凡な日常。の、はずだった……アリッサと出会うまでは。「あんたに選択の余地はないのよ。あたしに従いなさい!」 屋上から降ってきた半透明の彼女にいきなり命令され、強引に肉体を依代にされてしまった僕……足元がふらふらする。全身がだるくて重い……待て。なぜ僕がこんな目に? 彼女は自分の肉体を奪った犯人を追って「方舟」からこの地上へ辿り着いたというのだが……。


「RIGHT×LIGHT」第1作。
 マジカルコメディという謳い文句に反してかなり重い。ライトノベルは殆ど読まないのでよくわかりませんが、こういった「悪意のない悪意」、怖れからエスカレートしていく“暴力”やスクールカースト的な部分を抉り出して描いた作品って結構珍しいのではないでしょうか。魔術や高次存在といった単語が出てくるにも関わらず、そこらの青春小説よりもずっとリアルに学園ものしています。

 サブヒロイン・友月未由のキャラクター造形も素晴らしい。他者に疎まれ、自分の存在を無視されることに(少なくとも表面上は)何の苦も感じなくなっていた彼女が啓介に手を差し伸べられた際に断る理由を早い段階で語らせたことで、読者はその心に内包している弱さを知り、ぐっと魅力的に映ることと思います。ただ突っぱねてばかりのツンデレ娘(アリッサのことではないよ?)やテンプレちっくなクーデレ女子のようなキャラっぽさとは違って、きちんとした“生きた人間”になっているのです。キャラに関しては細かいところまで創り抜かれており、友月のセリフを区切って吟味するように喋るような癖からも、話す毎にその奥にある躊躇や遠慮、戸惑いをいちいち実感させられる。友月が普通に話せるようになるのがひとつのゴールでしょうね。
 これら丁寧なキャラ付けは何も女の子に限ったことではなく、妹と両親を喪った事故で心に傷を負い、事なかれ主義・無味乾燥に生きていた主人公の啓介もアリッサや友月と接することで自分を取り戻してゆく。変に卑屈だとか無駄に世話焼きとかでもなく、そこにもまたストーリーが置かれているところが良い。

 文章もしっかりとしていて安心。デッサンのようなタッチのイラストも素敵。魔術の概念が一読してただけでは若干理解し難くはあるものの、それを差し引いても十二分に面白かったです。
――つまるところ相当、好みの作品でした。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

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