2011.05/11 [Wed]
ライダー・ウィンダム『スター・ウォーズ ルーク・スカイウォーカー伝』
![]() | スター・ウォーズ ルーク・スカイウォーカー伝 (LUCAS BOOKS) ライダー ウィンダム Ryder Windham エフエックス 2011-04 売り上げランキング : 383034 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★☆☆☆
こいつにスカイウォーカーが優勝したレースのことを聞いても無駄だぞ。
おれのほうがずっとよく覚えてる
エンドアの戦いにおける反乱同盟軍の劇的勝利から数ヶ月後。新共和国が樹立され、銀河に新しい時代が訪れたが、帝国との戦いはまだ終わっていない。新たな問題に直面するルークだったが、一方ではアナキン・スカイウォーカーについてもっと多くを知りたいと思っていた。皇帝によりジェダイに関する記録はことごとく抹消されてしまったが、タトゥイーンにはアナキンとその母親について知る者がいた。
SW小説邦訳最新作は『EP6』の数ヶ月後を描いた『ルーク・スカイウォーカー伝』です。前半部はルークの少年時代~タトゥイーンを出るまでの回想。中盤にコミックのエピソードからの抜粋を挿み、後半でアナキンの足跡を辿る旅&ちょっとしたバトルもあり。
こうして見るとやんちゃで冒険心の強いルークはかなりアナキンに似ていますね。オーウェン叔父さんが心配していたのもよくわかる。シミの件があっただけになるべくタスケンの目に留まらないようにと神経を擦り減らす毎日。心中、お察し致します。
アナキンについてのまともな情報が得られない中、ルークがポッドレース優勝に言及した記事を見つける場面はテンションが上がります。ワトーについての話が出たのもワトーファンとしては嬉しいところです。残念ながら出てはきませんが、もしワトーがルークに会ったら泣いて喜んだことでしょう。
ラジオドラマ版や映画未使用シーンからのセリフや設定を積極的に組み込んだり、従来までの『~伝』シリーズとは異なって新規のエピソードが大半を占めているなど、コアなファンには垂涎ものなのは確かです。
しかしながら、1本の物語という観点から見ると小説としてはまとまりに欠けており、読み応えが殆どないのも事実。極端な話、ここで語られたエピソードの数々は『クロノロジー』や『全史』のような編算本でさらうなり、インターネットのファンサイトであらすじを知って、はい満足でも何ら問題ないわけで。それくらい大したことをしていません。
正直これをわざわざ邦訳候補に選んだ意味がわからない。いや、少しでも一般層に求心力のある作品=ルークの生い立ちを持ってきた意図は理解できます。ただ、この類の本を普段スピンオフを読まない人間が買うとは到底思えないんです。
ルークの少年時代みたいな地味な話をいままで映画だけを追ってきたような普通のSWファンが手を出すと? それなら『CW』が放送中の現在、素直に未訳のクローン大戦ノベルを邦訳刊行した方が何千倍もニーズに適っています。
次の刊行予定もメドが立っていないというし、日本で絶望的なまでにSW小説が売れない原因の一端は作品のチョイスも少なからず関係しているのではなかろうか。
スポンサーサイト
Comment
Comment_form