2009.05/17 [Sun]
橋本治『窯変 源氏物語 (1)』
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★★★★☆
いつのことだったか、もう忘れてしまった――。
絢爛豪華で重てく難解で、でもやっぱりそこにあるのは人間のドラマで、千年前に、人はこんなにも豪華に現代の悲惨を演じていたという、そんな話。
「窯変 源氏物語」第1作。
本好きの人は誰でも、いわゆる“名作”とカテゴライズされる作品の中に、死ぬまでに読んでおかなくてはならないと思っている作品がいくつかあることと思います。私の場合は「悲しみよこんにちは」、「ロリータ」、「伊豆の踊子」、そしてこの「源氏物語」がそうです。
とはいえ「源氏物語」を原文で、なんてとても読めるわけもなく。いくつも発表されている現代語訳のどれが良いのか、調査の日々でした。与謝野さんや円地さんなど、いくつもの現代語訳を見てみましたが、どれもダメ。何がダメかって、普通に読んでて頭に入ってこないんですよね、文章が。
そもそも、現代文と古文では句点の数から主語述語の表現方法まで、すべてが違うわけで。単に文章を訳しただけだと一文は滅茶苦茶に長いし、やっぱりわれわれの馴染んでいる日本語じゃない。
そんなとき出逢ったのが、この「窯変 源氏物語」です。まるまんまの現代語訳ではなく、原典を忠実に再現しつつ、現代の著者が改めて書いた“小説”なんですね。「北方水滸伝」みたいな感じ。
通じる日本語というのは当然のことながら、文章は光源氏によるメタ的一人称(どういうことかは読んでみればわかると思います)なので、従来までの現代語訳ではフォローが薄かった和歌の意味や
何を引き合いに出しているのか、までがよくわかります。また、一巻に四帖とじっくり枚数を掛けて物語が描かれ、当時の行事や風習なども詳しく説明がつくので知識ナシでも読めるのが嬉しいですね。
各章に人物相関図がついているのもgood
ただ、高い。限りなく高い(結局、そこ!?)。なんであの厚さの文庫で千円超えるのか、と。SWじゃあるまいし。
加えてレア度も高い。普通の街の本屋さんではまず売ってないし。どういうことでしょう?
それはともかく。買って損はないです。
豪華ではなく豪奢。それでいて、われわれと何も変わらない。
男達が延々女性の趣味を語り倒す「帚木」とか面白すぎる。左馬守、何様だww
てか、これ読むと子供に“夕顔”とか名付けたくなっちゃいます。綺麗だと思うんですけど、DQNですかね?
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