2011.04/28 [Thu]
全民煕『ルーンの子供たち 冬の剣(4)』
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★★★☆☆
そうなれば、おれはためらうことなくおまえを斬る。
しかしもし、おまえが第三者に襲われるようなことがあれば、おれは何があっても三度まで、おまえを助ける
伝説の"月の島"に辿り着いたボリスは、剣の司祭ナウプリオンの一番弟子となり、名をダフネンと改める。よそ者として疎まれ、孤独な日々を"月の島"で送るボリス。失意にくれていたある日、伝説の剣に導かれ、亡者が暮らす島の異空間に迷いこんでしまい――。
「ルーンの子供たち 冬の剣」第4作。
ボリス改めダフネンのダークサイド堕ちが顕著な第4巻。裏切りに裏切りが続いて大切な人をことごとく失ってきたこれまでの経緯を考えると、ダフネンが殻に籠る気持ちもわからなくはないです。自分が好意を感じていない相手にはとことん冷たく接するのもあながち批判はできない。
この辺りになってくるとそれが結構、自己中心的に見えてきてイライラさせられる。師匠やイソレット、ゼロに対しては心を開いているので割と素直なダフネンなのですが、それが同級生相手となるとまったく別人。常に冷め切った態度で周りの人間と線引きしているような態度は、作中人物でなくともなんだこいつと思ってしまいます。
その癖して島民から煙たがられることに淋しさを感じるのは、ちょっと自分勝手が過ぎるのでは? 半分は自己責任でしょ。
結局のところ、他者を排除しようという姿勢が強すぎて逆に自分を追い詰めてしまっているのがいまのダフネンなんですよね。だからどんどん悪い方――闇堕ちへと進んでいく。見ていて非常に危なっかしいです。
本巻ではナウプリオンを逆恨みするジレボ司祭、ダフネンを目の敵にするヘクトル・エキオン兄弟の策謀により、イェーフネンが命を落とす原因を作った“湖の怪物”が異世界より姿を現します。汚い手段も何のその。互いを憎み、生死を掛けて決闘するヘクトルとダフネン。
でもだからこそ、いまのダフネンを変えられる人間がいるとするなら、それは彼に寄り添ってあげるイソレットでもナウプリオン師匠でもなく、敵対しつつも義理を持つヘクトルしかいないと最終チャプターを読んで強く感じました。これからの展開、2ヶ月後の第5巻がいまから楽しみです。
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